『ツーリングのつぼ』

ストーブ(6)

掲載日:2012年09月18日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

点火方法はプレヒートだけなので面倒だが、オプティマス 123R の火力調節はしやすい。バーナーヘッド脇に火力の調節ノブがあるから、反応がダイレクトだ。ノブを回すだけで、お湯をわかす最大出力から、炊飯に必須の弱火も簡単に持続できる。欠点は、燃料タンクの容量が 120cc くらいと小さいので、調理毎に給油するのを面倒に感じるくらいだろうか。

アフリカを南下してナミビアをツーリングしていた時だった。とあるキャンプの夜、いつものようにご飯を炊いている途中に、燃料キャップから “プシュー” とガソリンが噴き出し、こともあろうか引火した。あっという間に 123R は火だるまになってしまった。燃料キャップの真ん中にある、異常加圧を逃がすバルブが作動したのだ。

急な出来事だったので、消火のために砂をかけて、コッフェルの中で生煮えになっているご飯を心配するくらいしかできなかった。寒い土地柄のスウェーデン製だけに、アフリカの高すぎる外気温が原因だったのだろうか。

分解してみると、ニードルを収めるバーナーヘッドの内側に、黒いタール状の汚れが溜まっていた。ニップルには通路をニードルで掃除する機能はあるが、アフリカはガソリンの質が悪いので、それだけで充分ではなかったようだ。

黒い汚れはガソリンでは溶けなかった。そこで細いドライバーで削ろうとしたが、想像以上にバーナーヘッドの素材は柔らかく、ニップルを収めるネジ山が削れてしまいそうだったのであきらめた。幸い、次の南アフリカはサッカーワールドカップが行なわれたくらい先進国なので、そこで3代目の MSR を購入して共にアフリカを北上した。

オプティマス 123R は、これ以上シンプルにできない構造なので、北極圏(もちろん真夏)でもサハラ砂漠(逆に真冬だ)でも、力強く活躍してくれた。 “ゴー” という、まるで飛行機のようにうるさい燃焼音はするが、ひとり地平線に囲まれてするキャンプでは、それは実に心強く感じる音だと思う。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

愛車を売却して乗換しませんか?

2つの売却方法から選択可能!

方法1.オークション

出品前買取相場が分かる!
3000社の中から最高入札店のみとやり取りで完結。

方法2.買取一括査定

業界最大級の加盟店数!
最大12社一括査定
愛車が高く売れるチャンス

メーカー

郵便番号

タグで検索