
掲載日:2012年07月10日 タメになるショートコラム集 › ツーリングのつぼ
Text/Kosuke KAWAI
シェラカップにも様々なブランドがある。オリジナルは底に「SIERRA CLUB」という刻印があるのが特長だ。18、19才の頃に、友人に誘われ初めてのキャンプに行くときに、このシェラカップを買った。確かアメ横あたりの、米軍払い下げ用品のショップで手に入れた記憶がある。これを手にすると気分が高揚し、一人前の旅人になれたような気がした。今でもそう感じる。
似たカップにロッキーカップがある。オリジナルとの差別化だろうか、ちょっと小さめと、ちょっと大きめのサイズが販売されている。このカップの柄がS字になっていて、使ってみたら便利に感じたのでこれをマネして、先号に書いた通り、シェラカップの柄を曲げたのだ。
友人たちとキャンプに行った場合、シェラカップがたくさんテーブルに並んでしまい、どれが自分の物か分からなくなることがある。雑誌かなんかの記事を読んで踊らされ、シェラカップを購入してしまう私のようなうつけ者の、なんと多いことか。他人の物と混じってしまうので、自分の名前をカップに油性ペンで書いておく手もあるが、柄を曲げておくと自分のものが分かりやすいことも発見した。
使い続けると、物は傷んだり壊れたりする。コッフェルの柄は外れ、転倒でへこんでしまい、カッパやテントの防水性はなくなり、補修が効かなくなれば買い替えるしかない。いままで全てのツーリングを共にしている道具は、壊れる部分のない、このシェラカップだけかもしれない。
どうやら、このシェラカップという器は、実用性よりも伝統が好まれているようだ。カラビナをつけてバッグの外側に吊るすのも雰囲気がいい。「それじゃあ、シェラカップなんて要らないじゃん」という意見はもっともだが、少し肌寒いくらいの季節に、視界が広く、できたら360度地平線まで見渡せるキャンプ場で、遠くに沈む夕陽をテントの中から眺めながら、熱いコーヒーを飲むのが好きな私は、いつまでもシェラカップを使い続けるだろう。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!