『ツーリングのつぼ』

タンクバッグ(3)

掲載日:2011年12月27日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

南米あたりまで来たらタンクバッグのファスナーが壊れて閉らなくなったので、チリで20リットルくらいのデイパックを買った。新しいテントを買いに行ったアウトドアショップで見つけたのだ(これにはスーパーで買い物をしている間に、停めて置いたバイクからテントを盗まれてしまった経緯がある)。

このデイパックを普通に肩ひもで燃料タンクに背負わせてみたら、何の加工もなくジャストフィットで固定できた。これ以降、このデイパックをタンクバッグとして使っていた。地図は透明なビニール袋に入れ、自転車のチューブで縛って載せていた。

これはバイクを離れて散歩をする用のサブザックとしても使えたので便利だった。大陸横断くらいのツーリングでは、ひとつの機能しか持たない道具は、それを使わない時は邪魔に感じる。たとえばアルミのパニアケースは荷物を運ぶだけではなく、キャンプではイスとテーブルに使い、時にバイクを乗せて整備スタンドにすることもあり、晴れた日には洗濯バケツにもなるのだ。

しかしデイパックの欠点は、今までのタンクバッグより容量があるので、物を持ちすぎてしまうことだ。当時の写真を見ると、人参やじゃがいもでバッグがはち切れんばかりに膨らんでいる。市場で野菜を買う時、たいてい1キロ単位の価格設定になっているので、「これ、欲しい」と言うと、おばちゃんから1キロ手渡されてしまうのだ。これはロシア語やスワヒリ語で「500グラム分」と言えなかった私が悪いのかもしれない。

時が経つとウエストバッグを加えたり、さらにソーラー充電機のパネルを置いたり、段を重ねるごとにあこがれのワイルドな姿に近づいたが、給油時に取り外す手間が増えたのは誤算だった。そこで、タンクの横にもバッグを取り付けることにした。これは外人ツアラーがよく愛用していて、燃料タンクに乗せる振り分けバッグだと想像してもらえば、だいたいそんな感じだ。こうして積める量が増えると、それに比例して荷物も増える件については、現在でも理由は解明されていない。

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