『ツーリングのつぼ』

タンクバッグ(1)

掲載日:2011年12月13日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

バイクに荷物を積む場所はキャリアやリアシートの上、そして両サイドに振り分けバッグをつけるのが普通だろう。タンクバッグは、日本ではあまり利用されない印象がある。

ところが海外をツーリングしてみて外人を観察すると、オンロードでもオフロードでも、いちばん最初にタンクバッグをつけるコトが多いと思う。それで容量が足りなければ、次にリアのサイドバッグを付ける。リアキャリアやシートの上に荷物を積むのは一番後のような気がする。単なる好みの問題か、長い足が荷物に引っかかるのを嫌っているのだろう。

そんな外人ツアラーが泥まみれの服装で誇らしげにバイクにまたがり、サハラ砂漠に半分埋まっているようなワイルドな写真を雑誌で見かけるたびに、まるでアゴを乗せるかのごとき高さのある2段3段重ねの大きなタンクバッグが目に焼き付いていた。さすが大陸を横断する本物のツアラーの道具だと激しくあこがれていたのだ。

私が世界一周に選んだバイクはホンダの XLR250R。この燃料タンクはオフロード走行でケガをしないように、富士山のようになだらかな三角形をしている。とてもタンクバッグを乗せやすい形状とは言いがたい。それに加えて9リットルという容量も頼りなく感じたのでビッグタンクに換装することにした。

その当時、アチャルビスや IMS など、樹脂製のビッグタンクだと20リットル、XL600R ファラオ用だと鉄製の28リットル、XL250R パリダカールの21リットル鉄タンクなどが候補にあった。これらのうち最初の2つは富士山状でバッグを乗せにくかったので、最後のパリダカ・タンクを選んだ。この製品だけ上部が平らなので、タンクバッグを乗せるのに都合が良かったからだ。

しかし80年代のタンクキャップには、よくエア抜きのゴムホースがあったのを覚えているだろうか。タンクの上にバッグを乗せるとそのホースを潰してしまい、燃料が出なくなってしまうのだ。カップの底のツメを折って空気を入れないと、プッチンプリンが取り出せないのと同じ原理だ。

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