
掲載日:2011年12月06日 タメになるショートコラム集 › ツーリングのつぼ
Text/Kosuke KAWAI
南米に入るころには、だいぶ地図の見方がわかるようになってきた。そのポイントは「地図にある国境の位置を信じてはいけない」ということだ。例えばインドとパキスタンは、しょっちゅう小競り合いをしている。お互いの主張する国境線がかなり違うので、タイミングにより入国管理事務所の場所が移動する。しかし、武装した警察が厳重にチェックしているので素通りすることはないだろう。
それらを踏まえ、エクアドルからペルーへ入った。「ようこそペルーへ」と看板がある橋を慎重に渡ると、あたりは一面の畑になってしまった。不審に思って、道端にいた農家のおっさんに聞いてみた。
「入国管理事務所はどこでしょう?」
「少し戻った、屋台街の中だよ」
…スタンプがないと不法入国になるから、ちゃんと呼び止めてくれ…。
さらにアルゼンチンの地図も、そのラテン気質をよく表すエピソードとして紹介してもいいだろう。それには南極の一部が自国の領土として描かれているのだ。別にアルゼンチン人が住んでいるわけでもないし、過去に探検隊を派遣したこともないのに「近いから」という理由だけで領土を主張している。南極条約加盟国の度量の大きさも感じられるエピソードだ。
橋や町の表示があっても、それは昔の話で、老朽化や戦災などで壊れて現在は存在しないということもあった(カンボジア、ボスニアなど)。ガソリンスタンドの表記があっても、電気がなくて機械が動かなかったり、ガソリン自体が品切れということもあった。さらに、シリアで発行されている中東の地図にイスラエルが存在しないなどと口にすると、ゴルゴ13にズキューンとやられて痛いかもしれない。
また、国に功績のあった人の名前を通りや公園の名前につける国では、政権交代すると(ニジェールなど、毎年のようにクーデターが起きている)、新しい大統領はそれまでの名称を廃止して、通りや公園に自分の名前をつけたりする。道に迷うからヤメて欲しい。
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