『ツーリングのつぼ』

ツーリングに携帯する工具(3)

掲載日:2011年11月15日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

世界一周では、CDI やレギュレーターなどの電装系、それに各種ケーブル類などをスペアに持って行った。「予備があると壊れない」という古くからの言い伝え通り、およそ20万キロ走っても何ひとつ使わなかった。ほんと現代のバイクは部品も丈夫だ。

XLR250R には、兄弟車にレーサーの XR250R がある。このレーサーの付属工具に通称 XR レンチがある。17と24ミリのメガネ(前後ホイールのアクスル径)に使用頻度の高い10と12ミリのオープン、そしてスポークのニップルレンチが付いている。XR系のバイクでパリダカールラリーに参戦するライダーがポケットに忍ばせておき「これで修理できなければサポートを待つ」と言わしめる逸品だ。

そのXRレンチに加えて、ボックスレンチ、メガネレンチにドライバー、ラジオペンチにタイヤレバーなど、ほとんどを KTC の工具で揃えて持参した。製品のブランドとは、自分でその品質の良否を判断できない私のような未熟者のためにあると思う。工具には、ガソリンでも消えないような塗料で自分の名前や目印を書いておくと、出先の修理で他人の工具と混じった時に判別できるので便利だ。

私はツーリングを続けることが目的なので、バイクがきちんと動いてくれれば満足だ。もし工具があれば、自分で整備できなくても他人に直してもらうこともできる。現地の言葉が話せれば、トラックを手配してバイクを工場まで運んで修理することもできるだろう。ちなみに壊れた部品を直す場合、ミラーを割ったらガラス屋、キャリアが折れたら溶接屋に行った方が、バイク屋よりも修理が早いケースもある。

とはいえ、なるべくなら他人に頼りたくはないので、愛車と工具は一蓮托生。ほぼ毎日をこの手に収めた工具は、XLR の走行距離20万キロを支えてくれた。すべてキズまみれで少し曲がっている物もあるが、欠けてはいないので機能に支障はない。今でも赤い工具箱に入れて大切に使っている。

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