『ツーリングのつぼ』

ゴアテックスのジャケットは最強(2)

掲載日:2011年08月09日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

3年くらい、そのほぼ毎日を着ていると、いくら丈夫なジャケットでも前のファスナーが壊れてくる。スライダー(指でつまむトコ)を上下させても開いたままになってしまうのだ。応急処置として、ラジオペンチでスライダーの左右を、ちょっとだけ締めつけるとファスナーを閉じることができる。この方法は、テントのファスナーにも応用できるので、覚えておくと長い人生きっとどこかで役に立つだろう。

しかし、これを数回繰り返すとスライダーの根元が折れるので、その場合は交換するしかない。出先ならば、たとえばペンケースなど、なくても支障のないファスナーからサイズの合うスライダーだけ取り出すのも手だ。そうならないため、常日ごろから泥がついたら古歯ブラシで洗うなど、ファスナーには手入れが必要だ。そうしないと、アラスカでジャケットの前ファスナーを全開にして走っていた私のように、寒い思いをするだろう。

ポケットはマチ付き(厚みがある)が断然使いやすい。いつでも取り出せるように、小型のスイスアーミーナイフとマグライト、温度計と方位磁石、パスポートをビニール袋に入れて収めていた。ポケットのベルクロもいつかダメになるが、ベルクロ自体は世界のどこにでも売っているので、適当なところで交換して欲しい。

ジャケットは昼間ライディング中の転倒から体を守り、夜はテントの中で枕になって安眠を提供してくれる。背中の脊髄パッドはいいクッションになり、ついでにトラベラーズチェックや米ドルの隠し場所にもなるのだ。寒くて足元に巻いて寝るときは、通気性の良いゴアテックスで良かった、と感じる瞬間でもある。

我々はボタンを押すと温度が調節できる部屋にいるわけではない。だから気温や湿度に合わせて服を選択し、こまめに脱いだり着たりしなければならない。出先で風邪をひくと、変な染料を額に塗られて、車座になってお祈りされてしまうかもしれない。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索