『ツーリングのつぼ』

どんなときも履けるブーツ

掲載日:2011年07月26日 タメになるショートコラム集ツーリングのつぼ    

Text/Kosuke KAWAI

初めての海外ツーリングでオーストラリアに行った時、オフロード中心の予定だったのでエンデューロブーツを履いて行った。転倒時のプロテクション性能を優先させた訳だ。しかし現地でのツーリングでは、舗装路を走っていようと街を歩いていようとブーツを履いている毎日になってしまい、さすがにそれはどうかとスニーカーを買ったらブーツを積む余裕がバイクに残されてはいなかった。

ツーリングに使うブーツはライディング中のみならず、昼食を食べたりトイレに行ったり、バイクに乗っていない時間でも履き続ける物だから慎重に選んでほしい。ロングツーリングではひとつの性能に特化したブーツではなく、何通りもの使い方のできる汎用性の高い製品がおすすめだ。

世界一周に履いて行ったブーツは、今はなきブーツ&ブーツ社の 『NB-101』 だった。ミドルカットで足首をカバーしていて、飾りのないシンプルな革のブーツだ。エンデューロブーツなどに比べてプロテクション性能は低いので、危険を感じたらスピードを落とす高等戦術で旅を続けた。レースに参戦しているのではなく、勝ち負けのないツーリングなのだ。

XLR はキック始動だったので、丈夫でグリップの良いビブラムのソールも必要だった。それは倒れたバイクを起こす時にも役に立つ。平らな舗装路で転ぶ人はあまりいないだろう。転ぶ所はたいてい条件が悪いのだ。実際に岩がゴロゴロしていたり砂がサクサクしていたり、ドロ沼のような足元の悪い場所でバイクを起こしたことがある。

Dリングに通したひもを引っ張って足全体をフィットさせる構造は歩くときにも便利だった。ただ外側のカバーにあるベルクロは、水の中でバイクを押すとはがれやすく、1年も履き続けると効きが悪くなったので金属のバックルに改造してもらった。

雨に降られたり熱帯雨林気候の土地をツーリングすると、革のブーツでは雨がしみたり内部が蒸れたりというデメリットが目立つ。そのほかに重量や歩きやすさなどの点でも革はナイロン製に劣るが、革を履くという儀式により 「バイクに乗るんだ」 という気分を盛り上げてくれる喜びは捨てがたい。

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