『ウェア屋さんのひとりごと』

ダウンは “重ね着” がポイント!

掲載日:2012年11月01日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

ここ数年で街中ではダウンジャケットを着ている人を、本当にたくさん見かけるようになりました。通勤の時間帯だと学生さんでしょうか、スクーターにダウンジャケットという組み合わせをよく見かけるのですが、あれって本当に暖かいのでしょうか? 私にはそう思えません。

ダウンジャケットの特長は何と言っても軽くて保温効果が高いという点にあるので、ダウンを包む表生地にも薄いものを使用し、生地の裏面にはコーティングが施されていないものがかなりの割合を占めています。たまに、中の羽毛が縫い穴の隙間からヒョコッと出てくるのはこのためでもありますが、少し顔を出している? 程度なら裏から引っ張ってあげれば元に戻すことができるので、あまり深刻に考える必要は無いでしょう。製品によっては密度の高い生地を使用したり、“ダウンパック” と呼ばれるものを使用して飛び出しを防いでいる製品もあります。ダウンパックを使用すると重くなってしまうので、軽さを特長にした製品では使用されていません。ちなみに、ウインドストッパー等の防風素材を表地に使用し、ライディング用のアウターとして使用できるのではないか?とも思える高機能アイテムも存在しますが、今回は一般的な製品に対してということで。

さて話は戻りますが、ダウンジャケットをライディング用として使用した場合、暖かいのかそうでないのか? 先ほどお話しした様な、“一般的な製品” 単体をアウターウェアとして使用した場合は、非常に寒い思いをする事でしょう。ただ、ライディングジャケットでシッカリと走行風を遮断し、ダウンジャケットやベストをミドルレイヤーとして着用すれば、軽い着心地と抜群の保温効果を得ることができます。朝晩の温度変化が大きい今の時期は、中綿の無い春夏ジャケット(メッシュは NG ですよ)にダウンジャケットを組み合わせることによって、気温が上昇する日中はアウターのみ、朝晩はダウンを着込むといった温度調整が可能です。

前々回からお話ししているアンダーウェアの着こなし方と同じ様に、ライディングというシチュエーションではダウンも “組み合わせ” によって機能を発揮することができます。「高価なダウンジャケットを買った。この冬はコレで快適!」という過信をせず、さらに “ひと工夫” を加えることで快適なウインターシーズンを過ごしていただきたいものです。

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