『バイク乗りの勘所』

新東名の制限速度引き上げを歓迎する

掲載日:2015年07月14日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

設計速度が他より高い、新東名や新名神の(100km/h未満に制限されている区間を除く)制限速度を、現行の100km/hから120km/hに引き上げる検討を警察庁が始めたようだ。筆者は、引き上げには大賛成だ。できれば120km/hなどとケチくさいことを言わず、新東名と新名神は、移行措置として150km/hから始めて段階的に引き上げ、将来的には無制限にし、その他の現行100km/h規制の高速道路は120~130km/hくらいに引き上げてもらいたい。

これは決して無茶な意見ではない。無制限はともかく、新東名の150km/hや東名の120~130km/hは、空いているときの、やや速めのクルマの平均的な速度にすぎないからだ。現状を追認すれば、これくらいになって当然である。だから、制限速度を引き上げた場合の一番の効果は、現状で違反(速度超過)を犯しながら走っている運転者が、違反を犯さず走れるようになる可能性が高いこと。この点が、上に書いた“大賛成”の大きな理由のひとつだ。

そもそも、日本最初の高速自動車国道として名神が開通した1963年以来、普通自動車の法定速度(指定速度区間を除く)は100km/hのままである。以後40年以上の間に、車両の性能も道路の構造も良くなり、同じ100km/hで走っても、物理的な安全性は今のほうが高い。それは歓迎すべきことだが、安全性が高まった分、運転者の気持ちに余裕ができ、緊張感が失われているようだ。速度の引き上げは、緊張感を取り戻すうえでも効果的に違いない。

二輪車については、当初80km/hだった法定速度が100km/hに引き上げられた(2000年)が、まわりのクルマと同じ速度で走れるようになり、安全性も高まったと実感している。制限速度に関する議論に必要なのは、速度=悪、運転者=悪人といった感情論を捨てることと、運転における“緊張感”の重要性を認識することではないだろうか。道路は本来危険な場所であるという大前提に立ち、それをどうすれば安全に使えるかの検討をお願いしたい。

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