『バイク乗りの勘所』

冬眠は洗車の後に

掲載日:2014年12月15日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

ウチのあたり(京都府南部)でも、12月に入るのを待っていたかのように、融雪剤が散布された。たまたま、撒いた直後の橋の上を走る機会があったが、まるで雪が降ったのかと見間違えるほど大量の塩化カルシウム粉末が、道幅いっぱいに、そして均等に積もっていた。融雪剤が恐いのは、水分を含んだときに、水だけの場合よりも滑りやすくなる他に、粉末のまま、あるいは雨水に溶けた水溶液が車体各部に付着し、急激に錆を進行させるからでもある。

塩化カルシウムであれ、塩化ナトリウム(食塩)であれ、このテの塩類は吸湿性が高く、一見乾いているように見えて、実は大量の水分を含んでおり、塩化物イオンとなって、金属表面に自然にできていた酸化物皮膜を侵す。このため、塩化物イオンの金属に対する攻撃性は高く、空気や水だけと触れている場合よりも、はるかに急激に錆が進行する。これを抑えるには、大量の水で洗い流すのがベストで、濡れ雑巾で拭いたくらいでは逆効果になりやすい。

路面に撒かれた融雪剤も車体に付着した塩化カルシウムも、その存在に気づいていれば対処のしようもあるが、問題は、知らず知らずの間に融雪剤の粉末やその水溶液を浴びていた場合だ。最悪なのは、12月に入ってからシーズン最後のツーリングに行き、たっぷり塩化カルシウムを付着させたまま、来シーズンまで放置…などといったケースだ。ただでさえ吸湿性が高いのに、低温で結露した水分が加わり、気づけば錆だらけということにもなりかねない。

12月中は我慢して乗るが、1~2月は乗らないという人は、冬眠に入る前に、ぜひ、車体各部に付着した融雪剤(塩化カルシウム)を洗い流していただきたい。水洗いが嫌いな人(私もその一員)は、拭き取るというよりも削り落とすといった感じで、研磨剤入りのワックスなどで丹念に除去すべし。すでに点錆が発生している場合は、2000番くらいのサンドペーパーで落とし、薄くオイルを塗っておけば、以後の加速度的な錆の進行を防ぐことができる。

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