『バイク乗りの勘所』

すり抜けについて思うこと

掲載日:2013年08月26日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

私自身、すり抜けは得意なほうだと思うし、愛車のハンドル幅を狭くしている(66cm。構造変更届け出済み)のも、すり抜けしやすさと無関係ではない。が、それでも、自分の中で “してもよいすり抜け” と “してはいけないすり抜け” は厳然と区別している。してはいけないの筆頭が、信号待ちで先頭に出るときなどのセンターラインを超えたすり抜け。次いでジグザグ運転を伴うすり抜け。直進するのに右左折専用車線から前に出、停止位置あたりで横に入るのも感心しない。

すり抜けは、厳密には道交法違反ではないケースが多い。すべてがそうとは言いきれないが、追い越しにも追い抜きにも該当せず、歩道や路側帯などの通行禁止場所を通らず、進行方向別車両通行帯区分違反も犯さなければ、取り締まりの対象にはなりにくい。だから、京都の道端の掲示板などには “禁止” ではなく “すり抜け注意” と書かれていたりする。が、いつまでも “注意” で済まされるとはとうてい思えない、危険なすり抜けを目にする機会が増えているのも確かだ。

危険なだけで事故らなければ、あるいは、事故っても本人がケガをするだけで済んでいれば、われ関せずでよい。問題は、危険なすり抜けが周囲のクルマのドライバーに不快感を与えたり、事故ったときに周囲のクルマを巻き添えにする可能性が高いことだ。そういった事例が増えれば増えるほど、すり抜け禁止に向けた法改正や、すり抜けそのものではなくても、同時に犯しがちな違反の取り締まりを実施しようという気運が高まるのは、むしろ当然のことと言わねばならない。

だから、すり抜けが明らかな違反ではないからといって、何も考えないでは済まされない。どんなすり抜けが(しかたなく)許容され、どんなすり抜けが不快感を与えるかについて考え、その結果 “してはいけないすり抜け” をしないように務めたいものである。コンセンサスなど得られないのは百も承知。ただ、答は違っても、ひとりひとりがそれについて考えることで、少しくらいは野放しの現状が改善に向かい、法改正や取り締まりを期待する人が減ることを期待したい。

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