『バイク乗りの勘所』

九州はバイク天国?

掲載日:2012年10月29日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

先日、イベント 出演のため、熊本県の瀬の本高原まで行った。下道自走で行こうと思っていたのに時間がなくなり、フェリーに乗って門司港から自走した。上陸初日の圧巻は、別府から先の “やまなみハイウェイ” 。湯布市との境の峠を越えたあたりと、瀬の本高原から前泊地の阿蘇市に向かう区間だ。どちらも、本州ではお目にかかったことのない雄大な景色。コースレイアウトも路面も良好で、流してもよし、飛ばしてもよし。延々とライディングを満喫できた。

当日、九州全域から行きやすい場所にある会場とその脇の駐車場には、何百台ものバイクが集結。会場前で交差する国道 442 号と県道 11 号(やまなみハイウェイ)に、バイクの姿が途切れることはなかった。数的には、休日の箱根あたりも似たようなものだが、排気量と年式のバリエーションは、こちらのほうがはるかに豊富。小さいバイク、古いバイクを大切にしながら、山道を “飛ばす” のではなく、この景色の中を “走る” のを楽しんでいるといった感じだ。

イベント会場で知り合ったライダーの中に、バイクに乗るために阿蘇に引っ越してきた…という人がいた。彼のマシンは、小さくも古くもなく、少し前のアメ車と最新型のイタ車なのだが、それでも、彼の話を聞いていると、1年じゅうこの景色の中を走れるなら、このあたりに住むのも悪くない…という気になる。九州内では2泊3日、600km あまりの短い道中ではあったが、一般人がライダーを見る目も、心なしか、敵意よりも親近感に寄っているように感じた。

そんな、バイクの楽園みたいな土地ではあるが、他でよく目にする “速度落とせ” とか “二輪車事故多発” といった看板は見かけなかった。そういえば、街中での “すり抜け” も見かけず、地元の人に聞いたところ、九州ではほとんどしないのだそうだ。四輪車の運転マナーは、お世辞にも良いと言えないと実感したが、バイクは違う。九州のライダーには、どうか、この環境が末永く保たれるよう、事故らず壊さず、楽しいバイクライフを送ってもらいたいものだ。

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