『バイク乗りの勘所』

整備はネジに始まりネジに終わる(その3)

掲載日:2012年01月30日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

ネジについて、その1 ではなぜネジが締まるのか、その2 では締めつけトルクと締結力の関係について書いた。その1はともかく、その2は少々難しかったかもしれない。で、今回は、うんと簡単に、締めつけ順序について書いてみたい。2本のボルトで締めつけるスモールパーツ、5~6本のボルトで締めつける円盤状パーツ、もっと多くのボルトで締めつける複雑な形のパーツなどを脱着するときの、ボルトの緩めと締めの順番について、である。

まず、2本の場合は、交互に少しずつ締めるのが原則。ボルト1を締め終わり、続いてボルト2を締め終わったあと、もう一度ボルト1の締まり具合を点検するのを忘れずに。これは、ボルト1を締めたときに傾いていたパーツが、ボルト2の締めつけによって平らになり、その分、ボルト1の座面(パーツに接触している頭の裏側面)に隙間が生じるからである。そのままではボルト1は充分な締結力を発生しておらず、緩みも生じやすい。

5~6本の場合は、緩めも締めも、5本なら星型の一筆書きの順序、6本なら1→4→2→5→3→6の順序である。ボルトの締めつけによって、パーツには目に見えない歪みが生じる(だから締結力が生じる)から、それを偏らせず、円盤状のパーツを均等に歪ませることにより、傾きや波打ちを避けるためである。この場合も、締めつけ時は、上に書いた順序で一回りしたあと、もう1周して、締めつけトルクが均等かどうかの確認を忘れずに。

太さの異なるボルトが併用されている場合は、細い物から先に緩め、太い物から先に締めるのが、まずは大原則。そして、緩めるときはパーツの外側から順に、締めるときは内側から順にする。そしてさらに、同じ太さで同じくらいの距離のボルトが多数ある場合は、5~6本の場合と同じ要領である。細いボルトに過大な力をかけず、歪みをパーツの内側に閉じ込めたり偏らせたりしないというのが、こうした緩め順、締め順の基本になっている。

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