掲載日:2026年10月14日 フォトTOPICS
取材・写真・文/森下 光紹

Vol.45 ウパエル

バイクに乗る変身ヒーローは数多い。男の子は子供時代にたぶんこの手のヒーローに憧れたものだ。そこには徹底的なヒーローとしてのカッコ良さと共に、自分自身の変身願望もあったに違いない。筆者の幼少期は、もうほとんど記憶している人も少ないだろうが、月光仮面だった。
恥ずかしながら、家から風呂敷を持ち出して、マントよろしく首に巻き、サビて調子の悪いポンコツの三輪車を必死に漕いでいた記憶がある。それ以降の世代ならばやはり仮面ライダーとか、キカイダーだろう。
もう最近のヒーローやヒロインは知らないが、きっとその後の若い世代でも少年少女期に憧れるイメージはそう変わらないのではなかろうか。今回の取材は、そんなことを思い出した取材になった。

「ウパエル」さん、彼女のハンドルネームであり、普段趣味で配信している動画やSNS上での名前である。今回待ち合わせ場所に乗ってきたバイクはCBR250RRで、このバイクの他に10万キロ以上走行したVツインマグナも所有している。
CBRは2020年に新車で購入したのだが、あえて2019年モデルを探した。それはカラーリング。そのスタイルに惚れ込んでしまったから、絶対に2019年モデルを探したということだった。

「バイクはね、息子が一人暮らしを始めて東京に出ていってしまった時に、彼が家に帰ってきたら足に良いからって原付スクーターを買ったのよ。それを乗ってみたら、楽しくてね。それまで、バイクって何だか危険なイメージが先行していて避けていたし、ダンナにも禁止していたけど、一気に身近になっちゃって、夫婦でバイク乗りになってしまったのよ。ダンナは大型二輪、私は普通二輪だけどね」

今やご主人のバイクも含めると、家に7台のバイクを所有する典型的なバイクマニアだ。ご主人は通勤にもバイクを使用するようになって、一気にバイク三昧の日々が始まってしまったと笑う。

「私、アニメが大好きで、コスプレも趣味でした。イベントにコスチュームを持ち込んで着替えるのって、なかなか荷物も多くて大変なんですよ。だから、バイクだと、もう家からそのままコスプレのスタイルで走って行けるから、そこも楽しくてね。大きな天使の羽根とか背中に付けて走るものだから、やっぱり目立っちゃうけど、なりきることがコスプレだから、そこも楽しいわけです。ずいぶん色々とやりました。風の谷のナウシカとかね。でも、コスプレマニアって、上には上がいるので、もうかなわないなぁと思って最近卒業しましたけど。アハハハ。他には映画のエキストラとかも、ずいぶん長い間やりました」

少女時代は自転車をひとりで乗り回す活発な一面がありながら、漫画やイラストを書き出したら止まらない一本気な性格。学校で、他の生徒とうまくバランスを取ることが苦手で孤立し、あまり登校できなくなってしまったという。

盛大なイジメにも遭ってしまい、身体も心も壊れてしまって入院。しかし、その病院の看護師さんと友達になって助けられ、自分らしい生き方をしようと決意すると、学校にも行けるようになったという。個性的な彼女は、その後高校時代には文化祭で大活躍。エジプト劇の美術を担当したり、合唱コンクールでは金賞を獲得するなど、好きな分野の腕をどんどん磨いていった。

「でも大好きなことは趣味にして、仕事とは切り離していますね。人それぞれだと思うけど、好きなことを仕事にしたくないという性格なんだろうなぁ。どちらも本当の私なんですけどね。最近はAIを駆使してアニメーションを配信したり、カラオケで歌うことも大好きだから、ツーリングの目的地から、カラオケ配信したりして、めっちゃ楽しんでいます」

普段はルーティーンのお気に入りルートをひとりで走る事が多い彼女だが、ご主人もバイク乗りなので、御夫婦でかなり足を伸ばすこともあるようだ。今年は出雲大社までロングツーリングに出たし、筆者がこの原稿を執筆中にも「今、能登半島でーす」というLINEが届いた。もちろん、カラオケの動画付きで(笑)。

長年の相棒であるVツインマグナは、後ろから追突されて修理となり、その時借りていたカワサキのバリオスで、スポーツバイクのも魅力を感じてしまい、現在のCBR購入となったウパエルさん。アップライトなライポジだったマグナから、前傾姿勢のロードバイクに突然乗ってみると、いきなり体中が痛くなったと笑うが、息子さんからのライディングフォームに違和感があるとの指摘から、上半身を少しリラックスさせるポージングにすると、長距離ランでも問題なくなったそうである。

「大きなバイクはイヤですね。乗るのが精一杯だと楽しめないと思うから。軽くてどこにでも乗って行けないバイクじゃないと楽しくありません。それも自分の自由気ままなイメージとリンクしてますね」

CBRのカウリングには、彼女がフリーハンドで切文字した「暴れん坊王子」というロゴが印象的だが、この書体、どこかで見たことがあると思ったら、「暴れん坊将軍」と同じだった。遊び心なのだ。そして、彼女の着ているTシャツのキャラクターは「うなPAN」という。もちろんコレも彼女が生み出したオリジナルキャラクターである。そして最近は切り絵でも作品を製作していて、展覧会にも出品するなど、活躍の場を広げているウパエルさん。自由に楽しく生きていく人生の相棒には、やっぱりバイクが一番だと、心から思える取材になった。









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