【新型コロナに負けるな!ガレージライフ】自然に囲まれた環境を活かしながら趣味とライフスタイルの両立を実現

掲載日:2020年10月21日 フォトTOPICS    

写真・文/小松 男
※この記事はガレージのある家40号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。バイクブロスマガジンズでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる記事として、バイクのガレージライフを楽しむオーナーインタビューをご紹介。憧れのガレージライフに夢を馳せていただければと思います。
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滋賀県 N邸 設計/クニヤス建築設計

街中での生活から一転して自然豊かな環境へと身を置くことを思い浮かべたNさんご夫婦。お二人の趣味やライフスタイルをおう歌するための家づくりは、土地探しから始められ、要望を実現するための建築家との出会いまで一貫してこだわりがあった。そして完成した家は四季を感じ取り時間の流れを楽しめる住まいとなっていた。

弊誌のようなガレージ専門媒体において主観的、いや個人的な話から書き始めてしまうのもどうかとも思うものだが、東京23区内ではないものの都市部に近い場所に生まれ、新宿渋谷六本木の空気を楽しみながら育った私は、「自然があふれる田舎暮らしがしたい!」と家内に言ったところで、“貴方には無理でしょう”と一蹴される始末だ。しかし一年中全国各地の家やガレージに伺い話を聞いているうえ高齢となった親の現状も見ている私は、しばしば耳にする“リタイヤ後の田舎暮らし”というのは現実的ではないと考えている。そう思える点は色々とあるのだが、えてして一般的に“不便だ”と感じる場所だから選ばれないというだけのことである。よって体が動くうちはどのような場所でも生活することができ、老いてからはある程度利便性の高い場所に住みたいというのが私の考えだ。前置きが長くなってしまったが、今回伺ったN邸は私が考える理想形のひとつだった。

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N邸は自然に恵まれた環境に建てられており、おのずとオフロードバイクの出番も多くなる。その一方で、空冷デスモLツインの鼓動感を楽しめるドゥカティ・SS900も所有している。

「以前は市街地で生活していたのですが、バイクやクルマ、そしてカヌーなどが好きで、それらを存分に楽しめる自然豊かな場所で暮らしたいと考えたのです」と話すのは今回伺ったガレージの施主であるNさん。Nさんのガレージに足を踏み入れると、イベントレースに参戦し好成績を収めてきたプジョーや林道なども楽しむというオフロードバイク、そしてカヌーにオーディオ類などが収められており、とても多趣味であることが伝わってくる空間となっている。さらなる作業ができるように、もっと広くしておけばよかったとNさんが話すガレージ空間だが、たっぷりとした採光を得られる天窓の設置や、ハイエースが入りなおかつそのままカヌーの積み下ろしを行えるように天井が高く設計されているために、かなり広々した印象を受ける。

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長年バイクライフを楽しんできただけあり、Nさんのガレージには、ヘルメット、ブーツ、ウエアなど、多くのライディングギアも詰め込まれた。それらは綺麗に整理されており、使い勝手の良さも伺える。

さらにガレージから中庭を挟んで建てられた邸宅を覗いてみる。居住スペースは吹き抜けを持つ広々とした印象のリビングを中心として、すべての部屋が繋げられていた。「基本的には家全体の閉鎖感をなくしたいと考えており、広々とした空間を生み出すために、外の景観を生活環境に取り入れられるように設計してもらいました。一方で和室やロフトなどは天井を低くしつつ、閉じた空間としても楽しめるようにしています」とNさん。たしかに家の中を見て回ると、各空間にメリハリが持たされていることがわかる。

特筆すべきは、周囲の自然を上手く生活環境に取り入れるために行われた“抜け感”だ。それは玄関に足を踏み入れた瞬間に伝わってくるものであり、家のどこにいても自然環境にあふれる場所で生活していると身に染みるものでもある。シチュエーションを活かしながら幸せな人生を送れるイメージが沸いてくるものだ。ここで冒頭にも書いたことともリンクしてくるのだが、田舎暮らしの一歩を踏み出すのは一般的には難しいことかもしれないが、理想のスタイルをイメージできているならば一歩踏み出すだけで実現できることなのかもしれないと私は常々考えている。

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所有するハイエースも中に入れて趣味であるカヌーの積み下ろしができるように、天井はかなり高く設定されている。

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この場所に越してくる少し前から始めたというカヌー。琵琶湖までクルマで5分程度という立地も土地選びのポイントとなった。

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ガレージ内のバイクスペース上にはロフトを設けている。なお階段は居住棟と同じデザインとされており統一感を持たされた。

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長い間乗り続けているプジョーでは、ユーロカップをはじめとした様々なイベントレースに参戦。度々センターポディウムに立っている。

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左_バイクスペース上のロフト空間。ご主人の趣味のひとつであるオーディオを楽しめる書斎として空間を利用する。大きな天窓を備えており、ガレージ内はかなり明るい印象だ。右_ガレージ上部は梁と梁を渡す板を作っており、それを組み替えることでレイアウトを変更できるストレージとされている。天井高を活かしたアイデアだ。

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左_中庭を挟む形でガレージと居住棟が建っている。ガレージが消音壁の役目も果たしており居住空間内には外からのノイズが入ってこない。右_ガレージにはクルマ側とバイク側に大きさの異なるドアを設置。普段ガレージ内にはプジョーの他にアルファロメオも入っている。

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左_ガレージ脇を居住棟へと続く通路としている。右_クルマの積み荷の出し入れを楽にするため、ガレージ背面にも大きく開く戸を設置している。

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左_居住棟のダイニング上は書斎としている。下の階の圧迫感を減らすために、ガラスのフロアを採用しているのもポイント。右_最上部のロフトから見下げると、室内高がかなり高く設計されていることが分かる。

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広々としたLDK空間。抜けを良く見せる部分と、やや引き締めた印象を持たせる部分を両立させておりメリハリが感じられる。

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左_ダイニングテーブルやカウンターはキッチンと同じ無垢のチーク材を使用している。スピーカーの配置もあらかじめ決めてあり配線が埋め込まれている。右_奥様の要望で完全オリジナルオーダーキッチンとなった。風合いの良いチーク材が使われているほか、壁収納にすべて収まるようになっている。

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左_玄関からは敷地の奥まで見通せるように設計されている。右手にドアがあり、キッチンへ直接アクセスできる。右_最も眺望の良い場所にバスルームを設置。森や山を眺めながら至福の時間を楽しめる。

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リビング脇に設けた和室。ここはあえて天井を低くしており、景観を含めた空間的な美を感じられるように設計された。

■OWNER'S CHECK
●我が家のここがお気に入り
カヌーを積載したままワンボックスの出し入れができる高さを持っていること。
●ちょっと失敗
ガレージ内はもう少し広くしておけば、さらに便利だったかもしれません。
●これらからの夢
隣接する土地にプライベートキャンプ場を作ること。
●読者へのアドバイス
家やガレージは作っている期間がとても楽しいものです。その時間を満喫してください。

■PLANNING DATA
施主●Nさん
家族●ご夫婦
所在地●滋賀県
竣工●2011年12月
延床面積●207.14㎡
ガレージ部面積●62.19㎡
構造●木造在来
外装仕上げ●ガルバリウム鋼板、焼杉
内装仕上げ●漆喰、オーク材など
愛車●1998年式 プジョー・106 S16ほか

クニヤス建築設計
武田邦康さん
施主のライフスタイルに合わせた住まいとガレージを分棟で設計しました。魅力的な敷地環境、豊かな風景を活かして、常に自然が感じられる空間を目指しました。
設計事務所
クニヤス建築設計
滋賀県長浜市八幡東町48-1 OSビル1F
phone/0749-23-2787

施工
トポス・近江産業
滋賀県長浜市八幡東町48-1
phone/0749-62-6299

ライター プロフィール
小松 男
BMWバイクス/DUCATIバイクス/Gooバイクなどの雑誌編集長を務めた後、フリーランスエディターへ転身。国内外ブランドを問わず、大型クルーザーからEVスクーターまで、2輪の乗り物ならば何でも乗りたがる性分の元祖雑食系。広く深くがモットーで、他人からは助平な性格と言われることもしばしば。出不精かつ出たがりという二面性を持つ。

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