掲載日:2020年07月06日 フォトTOPICS
写真・文/小松 男 ※この記事はガレージのある家43号(ネコ・パブリッシング発行)にて掲載したものを再編集しています。
東京都 山田邸 設計・施工/ビルズ東京
日本全国だけでなく、世界中のガレージライフを取材し、紹介している弊誌。これまで膨大な数のガレージを拝見させていただいてきたが、どれ一つとして同じ物は無かった。スーパーカーが置かれたモダンなものがあれば、クラシックカーに似合う落ち着いた雰囲気のものや、メンテナンスのためにリフトを設置したもの、中には自転車やサーフボードのためのガレージなどもあった。そのスタイルは千差万別なのである。なぜこのようなことを書くのかというと、これから紹介するガレージもまた、ある種特殊なものであり、興味をそそられるものだったからだ。
東京都西部に位置する住宅街に、今回伺った山田さんのガレージハウスは建っていた。平坦な土地が続く場所であることや、電車をはじめとした公共交通網も充実しており、生活をするにおいて人気の高いエリアである。
「以前は駅の近くの集合住宅に暮らしていました。子どもができ、家族も増えたので、家を建てようかと住宅展示場などを回り始めたのが5、6年前だったと思います。そのことを知人に話したところ、この家を手掛けてもらった『ビルズ東京』を紹介してくれたのです」と話すご主人。ビルズ東京の代表であり設計を手掛ける細渕さんと話を進めてゆくうちに、ガレージハウスを建てることとなった。
山田邸に備わるのはバイク用ガレージだ。コンパクトなサイズのガレージドアが開くと、昔から大切にしてきたというCBX400と、ガレージを持ったことで増車したというCB1000SFが収まっていた。ガレージ内の天井高は2.1mと、大人でも直立できるサイズであり、むしろこの閉塞感に落ち着きを覚える。この雰囲気はまさしく“隠れ家”だ。壁にはOSB合板や有孔ボードが使われており、パーツなどが上手くディスプレイされている。そしてこのガレージで注目したいのは、腰ほどの高さの位置に備わったトビラである。高さ60cmほどのその小さな扉は、リビングとガレージを行き来することができるようになっているのである。
家の中へと入っていくと、エントランスの奥にリビング空間が広がっている。そのリビングを中心に、ダイニングキッチン、ウッドデッキ、ガレージ、バスルームとレイアウトされている。これはビルズ東京が生活動線を考慮して導き出した提案だ。というのも、山田さんからは屋上を設けてそこにウッドデッキを設置するという要望もあったそうだが、リビングと繋がっている方が、日常的にセカンドリビング的な使い方ができるからだ。
リビングとガレージを繋ぐドアからは、ご主人の大切にするバイクが見える。そしてその上は、ロフト的な小部屋として活用できるようになっている。この部分、実は天井高が1.4mと低く抑えられており、床面積に数えられないのである。現在は子どもたちの遊び場となっているが、リビングと繋がっており家族の空気感を感じられる位置関係なので、とてもいい間取りだと思う。10代の頃夢に描いていたバイクガレージを実現できたと話してくれたご主人からは、ガレージライフを満喫している様子が伝わってきた。
■OWNER'S CHECK
●我が家のここがお気に入り
有孔ボードやOSB合板を用いたガレージの壁が気に入っています。
●ちょっと失敗
特になし。
●これらからの夢
隣接する土地も購入し、もう一棟ガレージハウスを建てたいです。
●読者へのアドバイス
愛車を眺めながら、お酒を飲むのは最高の時間です。是非ガレージライフを実現してください!