掲載日:2014年09月17日 フォトTOPICS
取材・文/佐川 健太郎 写真/山家 健一 取材協力/ピアッジオグループジャパン
日本初上陸となるカポノルド1200ABSトラベルパックは、スリムでコンパクトなアプリリアらしいデザインの中に、セミアクティブサスペンションやトラクションコントロールなど最新の電子制御機能を搭載したデュアルパーパスマシンとして登場。
2014年9月、アプリリアの2015ニューモデル試乗会が筑波サーキットで開催されました。今回の最大の目玉は、アプリリア初となる本格派アドベンチャーツアラー『CAPONORD1200 ABS Travel Pack』(カポノルド1200 ABS トラベルパック)です。WGPやスーパーバイク世界選手権など、最高峰のレースシーンで培った技術が投入されたハイテクマシンに仕上げられているのが特徴となっています。
エンジンは水冷4ストローク DOHC 4バルブ90度V型2気筒です。1,197ccの排気量から125HPを発揮する強力なパワーユニットで、これを剛性バランスに優れるトラス構造鋼管フレームに搭載しています。
注目すべきは、今の市販車両で最も進んでいると思われる、最先端の電子制御技術が投入されていることです。RSV4などでもお馴染みの、ライド・バイ・ワイヤ・システムによる3タイプのエンジンマッピングや、路面状況に関わらず最適なトルクを地面に伝えるATC(アプリリアトラクションコントロール)、2チャンネルABSなどに加え、カポノルド1200では新たにADD (アプリリアダイナミックダンピングコントロールシステム)とACC(アプリリアクルーズコントロール)を装備しています。
ADDは、路面状況やライダーの操作情報などを正確に感知して、前後サスペンションの減衰力を瞬時に自動調整する、いわゆるセミアクティブサスペンションシステム。これにより、車体の姿勢コントロールやハンドリング性能、安全性などを含むトータル的な走行性能と快適性を向上させています。
世界的な人気を背景に各メーカーが開発にしのぎを削っているアドベンチャーツアラーの分野ですが、カポノルド1200に試乗してみて分かったのは、あくまでもオンロード主体の走行性能に主眼を置いていること。前後17インチホイールにロードスポーツタイヤの装着、前後サスペンションの設定などがそれを物語っています。パニアケースに旅の荷物を詰めて、タンデムでアルペンロードを疾駆する。そんな姿が似合うイタリアンモデルです。
なお、日本での発売は9月中旬から。車両本体価格は199万8,000円(税込)となっています。
01一体型サイドバッグやクルーズコントロール、センタースタンド、そしてADD(アプリリアダイナミックダンピングシステム)がトラベルパックだけの限定装備となっている。カラーはフォーミュラレッド、グラムホワイト、コンペティションブラックの3色を用意。
02Vツインエンジン搭載ということで、車体自体は意外とスリム。タイヤはスポーツ用ハイグリップタイプで、あくまでもロード寄りの設定であることが分かる。
03サイドバッグは専用設計ならではの一体感。ハンドル幅内にぴったりと収まっていて左右の張り出しも最小限だ。
04スーパーバイクRSV4と共通イメージの、一見してアプリリアと分かる顔立ち。ヘッドライトは3灯式で左右がロービーム、その末端がポジションランプ、センターがハイビームとなっている。スクリーンは視界を邪魔しない、ほどよい高さだ。
05最高出力125psを発揮する、メガモタード『ドルソデューロ1200』(日本未入荷)がベースの水冷4ストロークDOHC4バルブ90度V型2気筒、排気量1,197ccのエンジンを、鋼管トラスフレームとアルミ製ピボットプレートからなるハイブリッド構造のフレームに搭載する。
06フロントの足回りはザックス製φ43mmフルアジャスタブル倒立フォーク、ブレンボ製φ320mmダブルディスクに4ピストンモノブロックキャリパーを搭載。解除機能付き2チャンネルABSを備えるなど安全性も万全。
07フロントフォークトップに搭載されたADDアクチュエーター。ADDは路面状況や操作内容に基づき、電子制御でサスペンション設定の動的自動調整を行うシステムで、究極の快適性とハンドリング、安全性の向上を目指している。
08リアサスペンションはザックス製フルアジャスタブルタイプのモノショックで、ユニット本体を水平方向に寝かせてアルミ製スイングアームにダイレクトマウントする方式。リア側もADDにより自動制御が可能。今回、国内導入されるトラベルパックにはADDが標準搭載される。
09大型マッドガードがオフロード走行を予感させる。トライアングル断面のサイレンサーはバンク角も十分で、さらにマウント位置の変更で高さ調整もできる仕組みになっている。
10長距離ツーリングに対応するシートは、幅広でクッション性も高く快適。リアシートも大型セパレートタイプでラゲッジシステム搭載時でも快適でスポーティな乗り心地を確保。
11メインキーでリアシートの脱着が可能。シート下には防水カバーを備えたUSBポートが装備されている。スーマトフォンやPC、その他の携帯型電子機器に対応するはずだ。
12トラベルパックには左右のサイドケースが標準装備される。サイドケースはワンキーで開閉と脱着が可能で、取付け部の剛性感も高く、走行時も安定している。
13クルーズコントロールもトラベルパックの標準装備。3モードエンジンマッピングやADDやABS、ATCの設定変更、グリップヒーターの作動なども左右グリップ部分のボタンで操作できる。ハンドガードも標準装備だ。
14可動式スクリーンは手動で左右のダイヤルを緩めて任意の高さに調整できる。写真は一番高くした状態でツーリング向き、低くするとスクリーンの角度も寝てきてスポーツライド向きの設定になる。
15すべての情報を一元管理する統合型の液晶デジタルメーターを装備。左グリップのモードスイッチで表示切り替えができる他、カポノルドの真骨頂である3モードエンジンマッピングやaDDやABS、aTCなどのセッティング情報を画面上に表示。
16パワフルなエンジンと確かな足回りによって、サーキットでもハイクオリティな走りを堪能できる。パニアケース装備で265kgの車重はさすがに軽快とは言えないが、それでもこれだけ攻められるのは、ADDやATCなどの電子デバイスの恩恵が大きいと思う。
17最高峰のレースシーンで鍛えられた技術とノウハウを持つ、ヨーロッパ最大のバイクメーカーであるアプリリアが、本腰を入れてアドベンチャーツアラー分野に進出してきた意義は大きい。今後の展開にも期待が持てそうだ。
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