掲載日:2014年06月12日 フォトTOPICS
取材・文/小林 ゆき 写真/小林ゆき、チーム無限 取材協力/マン島TTレース公式サイト、チーム無限・神電參公式サイト
直前にスリックタイヤか溝付きタイヤにするかを選択するため、フロントタイヤは外されている。結局、マクギネス選手、アンスティ選手ともにスリックタイヤを選択した。
1907年から始まったマン島TTの歴史にまた新たな1ページが加わりました。事実上、電動バイクのカテゴリである“TT Zero”が始まったのは2009年。このTT Zeroに、日本の『チーム無限』は自社開発のフルカーボンフレーム電動バイクレーサー『神電(Shinden)』を製作、2012年の初参戦で2位を獲得。2013年は神電をさらに進化させた『神電貳(Shinden Ni)』で3年間連続覇者の『モトシズ(MotoCzysz)』(米国)に挑みましたが、1.6秒差で惜しくも再び2位となりました。
参戦3年目となる2014年は、さらに進化させた『神電參(Shinden San)』を開発。残念ながらモトシズは参戦しませんでしたが、新たに参戦するベルギーの『Salolea』や、経験豊富なアメリカのオハイオ州立大学など他のライバルもおり、電動バイクがどれだけの進化を見せるのか、マン島TTレースの中でも注目のカテゴリとなっています。
チーム無限はプラクティス初日からマクギネス選手(#1)が昨年のラップレコードを更新する好記録を出しましたが、一方でアンスティ選手(#5)のマシンにトラブルが発生し、決勝まで気の抜けない戦いが続きました。
好天に恵まれた6月4日(水)10時45分。1周約60kmのコースを1周するTT Zeroがスタートしました。順調なら約20分でスタート&フィニッシュに戻ってくるところ、なんとマクギネス選手は19分17秒30(平均時速117.366マイル=187.79km)の驚異的なタイムでチェッカーを受け、またブルース選手も19分40秒625(平均時速115.048マイル=184.08km)の好記録で2位。チーム無限がワン・ツーフィニッシュを飾りました。
016月4日(水)、決勝の朝を迎えた。昨年までの覇者、モトシズを駆ったマイケル・ラッター選手(写真中央)はTT Zeroに出場しなかったが、チーム無限を訪れてチームメンバーを激励した。
02レース直前にラジオのインタビューを受けるマクギネス選手とアンスティ選手。直前までラジオやテレビが選手をインタビューする光景はマン島TTレースならでは。
03TT Zeroのグリッドに並ぶマクギネス選手。空を見上げてTTコースの天候を確認する。TTレースはスタートレーンに1台ずつ並び、10秒のインターバルで1台ごとにスタートする、タイムトライアルのレース。
04レーススタート直前にテレビのインタビューを受けるマクギネス選手。現在、マン島TTレースの現役選手で最多の20勝を誇る選手であり、歴代1位のジョーイ・ダンロップ選手の26勝にどこまで迫れるかも話題のひとつになっている。このTTレースの模様は、毎日夜にはイギリス全土の地上波TVで放送されている。
05スタート直前、奥さんのベッキーさんが激励に訪れた。家族や友人たちの応援もまた選手のモチベーションのひとつである。グランドスタンドには家族や地元モアカムの友人たちが応援に駆けつけていた。
06スタートを待つマクギネス選手。スタートはマン島のフラッグで合図するほか、選手の横に立つオフィシャルが選手の肩を叩いて合図する。
07ゼッケン5番、ニュージーランド人のため「キーウィボンバー」などの愛称で呼ばれているブルース・アンスティ選手。レース中の平均時速世界最高速記録を持つ彼は、そのニックネームとは裏腹に、普段は柔和なキャラクターのライダーである。
08スタートして初めの中速S字コーナーとなるブラダンブリッジの鉄柵越しを走るアンスティ選手。コース中盤ではマクギネス選手にあと5秒まで迫る好走を見せた。
09スタートしてしまえばライダーの状況が見えないのもまたマン島TTレースならでは。チームのメンバーはパドックのテントに戻ってラップタイミングとラジオの実況中継を確認し、ゴールの瞬間を待った。
10TTコース名物のバラフブリッジを通過するマクギネス選手。ガソリンエンジンバイクならモトクロスのようにジャンプするが、電動バイクはスーパーバイクより40~50kg重いため、着地時の衝撃でマシンが壊れないよう慎重に走っている。
11マウンテンエリアに入り、すぐのグースネックコーナーを走るマクギネス選手。ライン取りを見てもわかる通り、気合十分でかなり攻めている。
12予想よりも大幅に速くフィニッシュ地点のグランドスタンドに戻ってきたマクギネス選手の記録は、なんと平均時速117.366マイル(187.7856km)まで伸ばされた。この数字はライトウエイトTT(650cc 2気筒)の2位の記録に匹敵する。
13チェッカーフラッグを受けてウィナーズサークルに戻る道すがら、ファンの人が作成した特製フラッグを受け取るマクギネス選手。自身の優勝回数21勝目をチーム無限の神電參で飾った歴史的な瞬間である。
14お互いの健闘を讃え合うマクギネス選手とアンスティ選手。アンスティ選手は、TT Zero直後に行われたスーパースポーツTT2でも2位表彰台に登っている。
15娘を抱きしめるマクギネス選手。マクギネス家はいつも家族や親戚一同、地元イギリスのモアカムの友人らが揃ってマン島に渡ってきて応援するのが通例となっている。
16ウィナーズエンクロージャーでエンジニア、メカニックらメンバーが勢ぞろい。準備期間も含めると4年に渡る取り組みだっただけに、今回の優勝は喜びもひとしおであった。
17表彰台に無限のフラッグを掲げるマクギネス選手とアンスティ選手。日本のチームとして初めて優勝することができ、この無限フラッグは日の丸を掲げたに等しい快挙と言えるであろう。
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