【ヤマハ XSR155 ABS試乗記】軽量コンパクトスポーツ×大人仕立て=毎日乗りたい相棒

掲載日:2026年07月22日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男 衣装協力/Alpinestars Japan

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YAMAHA XSR155 ABS

2026年6月30日。ヤマハのスポーツヘリテージセグメントを担うXSRシリーズに、待望のニューモデルXSR155 ABS(以下XSR155)が加わった。XSRシリーズは125ccから900ccまで、実に幅広いレンジをラインアップしている人気シリーズだが、意外にもこのXSR155こそが、普通自動二輪免許区分での初のXSRなのだ。それだけに、ユーザーの期待値もひときわ高まっているモデルと言えるだろう。そこで今回は、登場間もないXSR155と1週間じっくり付き合い、街乗りから週末のツーリングまでを通してそのキャラクターを探ってみることにした。

祝XSRシリーズ10周年!
ありがとう普通免許クラスXSR!!

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ヤマハ製ストリートファイターモデルMT-09をベースに、ネオレトロスタイルへと落とし込んだXSR900が国内に登場したのは2016年のこと。つまり今年はXSR誕生10周年という節目の年にあたる。これを記念したグッズやアパレルの展開なども企画されているが、中でもひときわ注目を集めているのが、ニューモデルXSR155の登場だ。

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実を言うとXSR155は、海外の一部地域ではすでに販売されており、日本国内にも並行輸入という形で流通していた個体があった。だが今回、ヤマハが正規に国内販売へ踏み切ったことで、パーツ供給やメンテナンス体制についても安心して付き合えるようになった意味は大きい。

既存のXSRシリーズを見渡すと、XSR125・XSR700・XSR900・XSR900GPの4機種で構成されており、今回登場したXSR155は、シリーズ初となる普通自動二輪クラスのモデルということになる。警察庁が発表する運転免許保有者数の統計を確認しても、普通自動二輪免許保有者は、まさにボリュームゾーンであり、このXSR155はまさしく待望の一台と言えるだろう。

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しかし一方で、私と同年代の昭和生まれのバイク乗りと話していたところ「なぜ250ccモデルではないのか」と言われたのだ。

それに対して「時代が変わったのだ」の一言で片付けることもできるが、少し俯瞰して考えてみてほしい。そもそも250ccや400ccというモデルは、日本国内のレギュレーションに沿って作られてきた排気量帯だ。しかし少子化や人口減少社会を迎え、グローバル戦略を前提にするなら、多くの国で共通して販売できる排気量が重要になってくる。そこで昨今、150~200cc程度のモデルが増加しているのだ(ちなみに500cc前後のモデルも増えつつある)。日本の免許区分とは今ひとつマッチしないように感じるかもしれないが、海外に目を向ければ、これはごく一般的な排気量なのである。加えて、もし自分が今16歳で免許を取り、これからバイクを選ぶ立場だったらと想像してみてほしい。きっと排気量の区分など、さほど気にしないのではないだろうか。

ヤマハ XSR155 ABS 特徴

ネオレトロの皮を被った、
正真正銘のスポーツシャシー

XSR155は「“ファッショナブル”ד乗って楽しい”の二刀流」を開発コンセプトに掲げ、XSRシリーズのアイデンティティである“不変性を感じるスタイル”と“最新コンポーネント”を融合させた【Neo Retro】の世界観を継承している。

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外観は「シンプル&ホリゾンタル」を基調としており、丸型のヘッドライトやメーターはクラシカルな佇まいを見せつつ、灯体にはLED、メーターには液晶ディスプレイを採用。

タックロールシートやマフラープロテクター、オフロード調のトレッドパターンを持つタイヤをセレクトしたことなども、見た目の個性を際立たせている。

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一方、走りを支える骨格には、ヤマハ伝統のデルタボックスフレームを採用。倒立フロントフォークやリンク式モノクロスサスペンション、アルミ製のスイングアームを組み合わせ、市街地から高速道路、ワインディングまで幅広いシーンに対応するシャシー性能を持たせた。

エンジンは155cc水冷SOHC4バルブ単気筒に、可変バルブタイミング機構VVAを搭載。最高出力19PS、最大トルク14Nmを発生し、アシスト&スリッパークラッチと6速ミッションにより、扱いやすさと高速道路巡航時の快適性を両立させている。

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これらの仕様を見ていると、往年のヤマハスポーツモデル「TZR」シリーズを思い出してしまう。それというのも、デルタボックスフレームやYPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)など、ヤマハのスポーツモデル作りに対する思想は昔も今も一貫していると感じるからだ。さらにMT系やXSR系はYZFシリーズと基本設計を共有する部分も多く、スポーツライディングを得意としている点にも納得がいく。それでは、いよいよXSR155の感触をお伝えしていこう。

ヤマハ XSR155 ABS 試乗インプレッション

いざという時に高速を使えるどころか、
ロングツーリングに出たくなる作り込み

シャシーをはじめとするXSR155の基本的な構成は、XSR125と共通する部分が多い。シート高やホイールベース、車両重量に至るまでほぼ同一の数値が並んでおり、傍から見るとコンパクトにまとめられた印象を受けるものの、実際に跨ってみると、紛れもなくフルサイズの車格であることが伝わってくる。

ちなみにスペックシート上では、XSR125の方が全長で25mm長い数値になっているが、それはナンバーホルダー下方に、原付二種モデルであることを示す「△」ステッカーを貼るスペースが設けられているためだ。

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エンジンを始動し、少し暖機をした後にブリッピングを行ってみると、ヤマハのシングルエンジン特有の心地よいエキゾーストサウンドが周囲に響き渡る。操作感の軽いクラッチレバーを握り、ローギアに入れて走り出す。低回転域から十分なトルクが備わっており、街中では交通の流れをリードすることができる。

タイトではないライディングポジションであるため、車体の取り回しもしやすく、車重も軽いので小回りやUターンも楽に行える。こういった扱いやすさは、まさにXSR155の持ち味だと言える部分だ。

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郊外のワインディングへ向かうために、高速道路も使ってみた。フレームや足まわりの剛性感が高く、安心して走らせることができる。エンジンのパフォーマンスを考えると、むしろオーバースペックに思えるほどなのだが、その余裕こそが、高速走行を苦手としないキャラクターに仕上げている理由と言えるだろう。

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ただし、絶対的なパワーというのは、正直なところ持ち合わせていない。だから高速走行時に5000回転程度からスロットルを開けた際には、若干のもたつきを感じる場面もあった。となると“VVAが作動する7000回転以上をキープして……”と書きたくなるところではあるが、XSR155はピークパワーを競うためのモデルではなく、心地よい鼓動感やスポーツライディングを肩肘張らず楽しむための一台なのだと思う。だからこそ、5速5000回転前後で時速60km程度を保ちながら田舎道を流すような走り方が、本当に心地よく感じられるのだ。

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ワインディングを走らせてみると、素直なハンドリングであることがとても伝わってくる。細身のタイヤであることや、ホイールベースがやや短めに設定されていることもあり、無理に寝かさずとも、スッと頭が内側を向いてくれる。少々ペースを上げてみてもまったく不安はなく、むしろスポーツライディングの楽しさを体感することができるので、どんどん走りたくなってしまうのである。

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1週間にわたりXSR155と過ごしたが、雨の日以外は毎日走らせていた。まず大きなポイントはサイズ感と軽い車重で、“ちょっとそこまで”という使い方を気軽にこなせる。一方で高い剛性を感じさせるしっかりとした作りなので、遠乗りも億劫にならない。そして何よりも魅力に思えるのは、落ち着いたカラーリングと高い質感により、クラスを超えた所有欲を満たしてくれるところだ。

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つまりXSR155は、免許を取得したばかりのライダーはもちろん、リターンライダー、さらには人生最後の一台を探しているベテランライダーにも勧めたくなる一台なのである。

ヤマハ XSR155 ABS 詳細写真

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155cc水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンに、可変バルブ機構VVAとアシスト&スリッパークラッチを組み合わせる。ラジエターはバイパス式サーモスタットを採用し、暖機時間の短縮と燃費向上に貢献。武骨な樹脂製アンダーガードもスタイリングのアクセントとなっている。

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インナーチューブ径37mm、ストローク130mmの倒立フォークが、優れた接地感と剛性を両立させる。ブレーキはφ267mmディスクに2ポットキャリパーを組み合わせ、軽二輪クラスとしては十分すぎる制動力を確保。ゴールドのホイールが足元の印象を華やかに引き立てる。

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タイヤサイズは前110/70-17、後ろ140/70-17で、セミブロックパターンとしているのがポイント。マフラーはボディと連動したデザインの黒いプロテクターをまとい、武骨さの中にも上質な仕上げを感じさせる。

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XSRシリーズのアイデンティティである、シンプルな丸形ライトケースを用い、ベゼル部分はハーフマットカラー仕上げとなっている。LEDヘッドライトの奥には、XSRのロゴがあしらわれている。

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オーセンティックな雰囲気を演出しつつ、ライディングポジションの自由度も確保するタックロール仕立てのシート。高さは810mmで、厚みがあり座り心地も良好なので長時間乗車も苦にならない。

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丸形のケースに収められた液晶ディスプレイには、タコメーター・スピードメーター・ギアポジション・燃料計といった走行に必要な情報が見やすくレイアウトされる。レトロな外観と最新装備を同居させた、XSRらしい一面がよく表れている部分だ。

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自由度の高いライディングポジションを支えるアップハンドルを採用。ミラーはロングステーで後方の視認性を確保しており、見た目と扱いやすさを両立させている。

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ニーグリップしやすい絞り込み形状の燃料タンク。容量は10L。ボディカラーはグリーンのほか、ブラックとシルバーを用意している。往年のヤマハ車を思わせるカラースキームだ。

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シフトチェンジレバーとステップの関係は割とスポーティな角度がつけられているが、取付位置自体は低めなので、足元が窮屈には感じない。ヒールプレートが大きくかかとで抑え込みやすい。

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丸型のLEDテールランプを中心に、左右へ振り分けられた小型のターンシグナルがバランス良くまとめられている。タックロールシートの後端からリアフェンダーにかけての一体感も高く、ネオレトロらしい佇まいを見せる。

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裏面のリブ形状をチューニングした軽量アルミ製のリアアームを採用。リンク式モノクロスサスペンションと組み合わされ、剛性と軽快なハンドリングを両立させる、走りを支える縁の下の力持ちだ。

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シートを外すと、バッテリーやヒューズボックスなど電装系のパーツが機能的にまとめられている。決して広くはないが、ETC車載器などを収める程度のちょっとしたユーティリティスペースも確保されている。

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