【ホンダ CB650R E-Clutch 試乗記】”ノークラ”モデルが主流となる予感!!

掲載日:2025年01月23日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

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HONDA CB650R E-Clutch

欧州などでも高い人気を誇るホンダのミドルクラススポーツネイキッド、CB650R。2024年モデルでは新たなミッション機構「Honda E-Clutch(ホンダ イークラッチ)」搭載モデルを追加。今回はウワサの「CB650R E-Clutch」をピックアップ!

長く乗っても飽きのこない万能選手
進化を続けて今がある

2024年に外装が一新されマイナーチェンジを受けたCB650R。直列4気筒エンジンがもたらす伸びやかなフィーリングと軽量な車体により、ビギナーからエキスパートライダーまで幅広く支持されてきたモデルだ。市街地でも扱いやすいサイズ感、何泊にも及ぶロングツーリングであっても難なくこなしてくれるパフォーマンスは、国内はもとより欧州などモータサイクルカルチャーが根付いた国々でも高い評価を得てきた。

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そんなCB650Rが改めて注目を浴びている。それはホンダが新たに開発したトランスミッション機構、「E-Clutch(イークラッチ)」搭載モデルが追加されたからである。今回は、CB650Rの根底にある魅力を探りつつ、イークラッチモデルのキャラクターや使い勝手をじっくりと探ることにする。

ホンダ CB650R E-Clutch 特徴

オートマ化の波が押し寄せる中、
先陣を切って開発を進めてきたホンダの利

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各メーカーで呼び方こそ異なるが、いわゆるオートマチックミッション化の波が押し寄せてきている。2024年を振り返るだけでも今回取り上げるCB650Rと同時に発表されたフルカウルモデルのCBR650Rに搭載されるホンダ イークラッチ、BMWモトラッドのR1300GSアドベンチャーに用意されたオートメイテッド・シフト・アシスタント、ヤマハのスポーツネイキッドモデルMT-09のY-AMTなど、各メーカーから続々と登場したのだ。

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今現在、世の中を走るクルマを見渡すと、ほぼすべてと言っても過言ではないほど、オートマ車の比率が高くなっているが、バイクの分野では、まだまだマイノリティな存在である。ただバイクの歴史を振り返ってみると、80年代に爆発的に売れたのは何と言っても原付スクーターであるし、1990年代終盤から2000年代初頭にかけてのビッグスクーターブームにおいてはオートマモデルに人々が流れる潮目を創り出し、二輪車での”AT限定”免許も誕生するほどだった。

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一方で、5年ほど前に参加した電動バイクメーカーの発表会で「ライダーは自分でシフトチェンジを行い、ギアを選んで走らせることを求めている」と電動モーターにミッションをつけたものが登場しているのを見たりすると、”オートマの安楽さなのか、それとも自分の意思でシフトを変える操作感なのか、ライダーが本当に願っているのはどちらなのだろうか?”と悩んでしまったりもする。

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そのような時間の流れの中でホンダは2008年に登場したDN-01に搭載した「HFT(Human-Friendly Transmission)」や、現在クルーザーモデルからアドベンチャーバイクまで幅広く採用している「DCT(Dual Cluch Transmission)」など独自の変速機構を淡々と開発してきた。そのような中で新たに登場したホンダ イークラッチはどのような感触となっているのだろうか。

ホンダ CB650R E-Clutch 試乗インプレッション

利便性が高く快適、しかもタフネス、
これは大きなスーパーカブだ!

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私はミドルクラスのバイクが好きだ。普段リッタークラスのバイクに多く触れているからというのもあるが、それらと比べると軽量コンパクトであるがゆえに日常的な使い勝手が良いのだ。今回もテスト車両のCB650Rイークラッチを目の前にして、その隣に置いてあったCBR400Rとほとんど変わらないサイズ感だったことに、これは便利そうだと心を躍らせた。

新たなミッション機構であるホンダ イークラッチは、基本的にはこれまでの通常のトランスミッションをベースに、クラッチ操作を不要としたシステムとなっている。エンジンを始動し、メーター内に「A」マークが点灯しているのを確認したら、クラッチレバー操作をせず1速にシフトチェンジをすることができる。

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この停車時にクラッチレバーを握らないで足元のシフトチェンジレバーを操作する感覚が最初のうちは、普段とは違う不自然な動作なので違和感があったが、走り出してしまえばシフトアシスト機構のついたバイクと同じなので、何ら問題はなかった。ちょっと気になった点と言えば、1速から2速へとシフトアップする際に、シフトチェンジレバーをしっかりと蹴り上げないと、ニュートラル抜けすることがあった。だがこれは、ライディングシューズによっても違うので、慣れでカバーできるだろう。

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それにクラッチレバーそのものは左手のいつもの場所に備わっており、それを操作するマニュアルシフトチェンジも行うことができる。実はこれが大きなポイントとなっており、例えばタンデムライドなどでの発進時のクラッチミートなどは、クラッチレバーを操作して半クラ状態を作ってあげた方が自分の意思通りに動かせるのである。普段はイークラッチで乗りこなし、繊細な入力を求める時にはクラッチレバーを使う。私の場合はそのようにしてCB650Rイークラッチと付き合った。

さて、どうしても話がイークラッチのことに寄ってしまうが、改めてCB650Rイークラッチの全体的な乗り味にフォーカスをしていこう。車重は207kgとなっており(スタンダードモデルは205kg)、200kgを少々超えているものの、シートは810mmと抑えられている上に、重心が低い位置となっていることもあって、足つき性や取り回しはかなりしやすい。ハンドル幅も長すぎず短すぎず、高すぎず低すぎず、よくもここまで具合の良い位置にセットできるものだと感心する場所にある。

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身長177cm体重71kgの私には多少小さいかと思えなくも無いが、走らせてみると面白いほど手足のように扱えるのだから、一度走り出すとついつい走行距離を伸ばして帰ってくる始末だ。ツインエンジン搭載車が増えたミドルクラスにあって、やっぱり直列4気筒エンジン特有の回転上昇フィーリングは素晴らしいと思えるものであるし、最高出力は95馬力と強大でありながらも扱いやすいために高回転まできっちり使おうと思わせてくれる。

高速道路ではそんなエンジンのサウンドやフィーリングを楽しむことができ、ワインディングロードに持ち込めば、軽量な車体とコーナーの進入で思うように沈むフロントフォーク、しっかりとトラクションを得られるリアサスペンション、そしてどの回転域からでも右手のスロットルワークに合わせてパワーを出してくれるエンジンキャラクターの組み合わせで、最高のスポーツライディングを得られる。

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パッセンジャーシートもフラットで荷物を載せやすく、タンデムライドも余裕でこなす力もある。そして何よりもイークラッチは”楽”である。本当に便利で快適なので、他に用意してあったテスト車両をよそに、CB650Rイークラッチばかり乗ってしまった。この使い勝手の良さや、走らせた時の楽しさ、どんだけ使い込んでも大丈夫そうなタフネスさは、何かに似ているなと思ったが、それはもしかするとスーパーカブのそれに通じているのかもしれないなどと考えてしまった。

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それと付け加えておきたいのは、イークラッチは完全なる”オートマ”ではなく、シフトペダルを使ってのシフトチェンジが必要なので、これは新感覚と言える。なのでスタンダードモデルの購入を考えている方も一度イークラッチモデルに試乗してみることをお薦めする。

ホンダ CB650R E-Clutch 詳細写真

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CB650RとCBR650Rに設定された新たなトランスミッション機構、「E-Clutch(イークラッチ)」。既存のトランスミッションを用いて、センサーやアクチュエータなどを介してクラッチ操作を自動で行ってくれるもの。クラッチレバーを使う通常のシフトチェンジも可能。

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右側に減衰機構とスプリングを、左側はスプリングのみを備えるショーワ製SFF-BP倒立フロントフォークを採用。フローティングディスクとニッシンのラジアルマウントキャリパーの制動力も高く、ブレーキの操作感、フロントの動きが良い。

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排気量648cc水冷4ストロークDOHC直列4気筒エンジンは最高出力95馬力を1万2000回転で、最大トルク63Nmを9500回転で発生。ミドルクラス以下はツインエンジンが多くなった現在において、4気筒のフィーリングは魅力的だ。

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2024年モデルではヘッドライトのデザインを、エアロマネジメントに寄与しながら、車体の台形フォルムを引き立てるスラント形状に変更したほか、シュラウドも金属質感としたコンパクトな面形状のデザインとなっている。

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車両とスマートフォンを連携できるHonda RoadSyncを備えた5.0インチTFTフルカラー液晶メーターを採用。右側の縁にグリーンの「A」ランプが点灯しているのが分かるだろうか(ABSランプの上)。このランプが点いている時にはイークラッチ操作が可能。

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左側のスイッチボックスにはHonda RoadSyncの操作や各種設定を変更できるマルチファンクションスイッチを採用している。 クリック感が良く、LEDイルミネーションにより夜間もスムーズに操作できた。

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シート高は810mm。この数値は兄弟モデルであるCBR650Rと共通となっている。シートはしっかりとしたクッション性を持ち、長時間乗車しても疲労は少ない印象。パッセンジャーシートは座面がフラットで荷物の積載性も良かった。

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イークラッチ機構はシフトチェンジレバーによるシフトチェンジ操作が必要となっている。そもそもクイックシフトはあったので、それに停車時にクラッチを切る機能を追加しているものだと考えれば良い。

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湾曲タイプのスイングアームに180/55ZR17サイズのタイヤをセット。スポークの細いホイールも相まって、とてもスポーティな印象を受ける足まわりとなっている。全体のバランスが良く深々とリーンさせても不安が無い。

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ショートテール形状のリアセクションはソリッドな面構成とされており、コンパクトに纏められている。4灯の大型LEDを配置したテールランプは高い被視認性と個性を両立したデザイン。急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅することでいち早く後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルも採用。

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燃料タンク容量は15リットル。実走燃費は20km/L前後のようなので、満タンでおおよそ300km程度走行できる。写真のマッドグレーはイークラッチモデルのみに設定。他にブラックメタリックがある。

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