【ロイヤルエンフィールド ショットガン650試乗記】古風で新しい、見た目だけでなく走りにも老舗ブランドのこだわりが宿る

掲載日:2024年09月25日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力/ロイヤルエンフィールド東京ショールーム 取材・文/ケニー佐川(佐川健太郎) 衣装協力/KUSHITANI

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Royal Enfield SHOTGUN 650

ロイヤルエンフィールドの新型モデル「ショットガン650」がデビュー。国内メディア試乗会に参加したケニー佐川がその実像を深掘りする。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 特徴

型にはまらないスタイルがカスタム精神を刺激する

ロイヤルエンフィールド(Royal Enfield、以下RE)は、イギリスの伝統あるモーターサイクルブランドで1901年に設立された。特に「Bullet」シリーズが有名で1930年代から生産が続けられているが、1950年代以降はインド資本が主体となって事業を継続。1993年にはインドの大手自動車メーカー、アイシャー・モーターズ傘下となり近代化を進めるとともにプロダクトを強化、世界中にその名が広まった。現在はインドと英国の2か所にテクニカルセンターを構え、名門フレームビルダーとして知られるハリス・パフォーマンス社を傘下に持つグローバル企業へと発展している。

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REはクラシカルなデザインと堅牢な作りで知られ、近年では60年代のカフェレーサーをイメージした「コンチネンタルGT」やネオクラシック「INT650」などのミドルクラスにも新機種を投入。レトロな外観と最新の技術を融合させた設計が特徴になっている。REのバイクはシンプルでメンテナンスしやすいことから長距離ツーリングや日常使いにも優れ、その独特のデザインと歴史的な背景から世界中に多くのファンを獲得してきた。

そして2023年、キビキビした走りと使い勝手の良さが光るミドルクルーザー「スーパーメテオ650」がデビュー。これをベースにさらに運動性能に磨きをかけたロードスポーツモデルとして誕生したのが「ショットガン650」である。

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古風でモダン、ネイキッドともクルーザーともとれる個性的なスタイルが印象的なショットガン650だが、REではカテゴリーを超えたモデルと位置付けている。ユーザーの創造性を刺激するカスタムスピリットに溢れた素材と言ってもいいだろう。エンジンは650ccの空冷並列2気筒OHC4バルブを搭載。最高出力は47psと「スーパーメテオ650」と共通スペックで、エンジン自体の基本性能は変わらず、骨格を構成するスチール製ダブルクレードルフレームも継承されている。大きく異なるのが足まわりで、ホイールサイズを前後18インチ/17インチに変更(スーパーメテオ650は前後19インチ/16インチ)し軽快な走りを実現。また、サスペンションのストローク長やスプリングとダンパーのセッティングも専用化しキャスター角も起こされるなど、よりスポーツティな走りにふった車体設計になっているのが特徴だ。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 試乗インプレッション

80年代的なリアステア感覚が楽しい

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ショットガン650は、REの伝統美と現代の洗練を見事に融合させたバイクである。剥き出しの空冷エンジンに流線形のタンクがクラシックな趣を醸し出し、LEDヘッドライトや倒立フォークが現代的な息吹を吹き込んでいる。フローティングタイプのソロシートや重厚なピアノブラック塗装のスイッチボックスなど、細部の仕上げにも老舗ブランドとしてのこだわりを感じる。特に感心したのがダブルシートからワンタッチでレトロなサドル型シートに変わる機能。視覚の美しさと実用性を兼ね備えた素晴らしいアイデアである。

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エンジンは270度クランクを採用した空冷OHC並列2気筒で独特の鼓動感が心に残る。見た目はクラシカルだが4バルブ化により力強い加速が得られ、低回転から高回転までフラットなトルクで扱いやすく、6速ミッションの滑らかなつながりは走行中のストレスを感じさせない。加えて専用設定のショーワ製BPFや精緻に調整されたジオメトリーによって、よりスポーツティな走りがリラックスして楽しめるように仕上げられている。

ショットガン650の魅力は単なるスペックやデザインにとどまらず、その乗り味と佇まいに深い味わいがある点にある。前後で異なるタイヤサイズ、フロント18インチ(幅100mm)、リア17インチ(幅150mm)という設定はただの数値的な特徴ではなく、実際の走りで独自のフィーリングを生み出す要素にもなっている。コーナーに向けてバイクを倒し込んでいくと後輪からしっとりとリーンしていき、これに前輪が自然に追従するかたちで舵角が付いてスムーズ曲がっていく。このリアステア感覚は単にパフォーマンスを追求したものではなく、80年代のバイクを彷彿させる懐かしさと新鮮さが同居するユニークな乗り味を楽しめる。これを意図的に作り込んだのであれば、REの開発陣は相当にしたたかな手腕を持っていると言えよう。

スポーティな走りにも機械の温もりを感じる

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コーナーでは車体全体がどっしりと安定しライダーに安心感をもたらしてくれる。街中はもちろん、ワインディングロードでもこの安定感は変わることなく、まるでバイクが自ら進むべき道を知っているかのようだ。前後サスペンションはスポーティにチューニングされていながら硬すぎず路面からのフィードバックも分かりやすい。また、スチール製のダブルクレードルフレームがもたらす“しなやかな”剛性感には幅広いライダーを受け入れてくれる優しさがある。ちょっと乗っただけで体に馴染む、信頼感と言ってもいいだろう。

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シートも一見すると薄く見えるが、その実、長時間のライディングでも疲れを感じさせない柔らかさを備えている。ブレーキは前後ともにしっかり効いてABS標準装備のおかげで急ブレーキ時もタイヤがロックすることなくスムーズに減速。またブレーキは強力すぎず、それでいてタッチのフィードバックも分かりやすいため、速度コントロールも直感的に行えるなどライディング中に余計な気を遣う必要がない。電子機器に頼りすぎず、シンプルな装備がもたらす操作のしやすさが、バイクとの一体感をさらに深めてくれるようだ。

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エンジンも味わい深い。空冷並列2気筒の柔らかな鼓動や穏やかなパワー感も80年代風。じんわりと体に響くエンジンの鼓動を感じながら鉄の部品と向き合う感触は、現代のバイクでは失われつつある“機械の温もり”を思い起こさせてくれる。まるで古い友人と再会し昔話に花を咲かせるような、懐かしくも心地よいひとときである。

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一日の試乗だったが、街乗りからワインディングまで幅広いシーンでライダーに走る喜びをもたらすバランスの良さと、ちょっと遠くまで足を伸ばしたくなる快適性を感じることができた。そして価格は約100万円と控えめながら装備や性能の面で必要十分なレベルを満たしていて、そのコストパフォーマンスは非常に高いと思う。REがこのバイクをミドルクラスの新たなスタンダードとして位置付けるのは、単なるマーケティングの言葉ではなく、そこには確かな自信が感じられたのだった。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 詳細写真

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空冷並列2気筒SOHC4バルブ排気量648ccから最高出力47psを発揮。不等間隔で爆発する270度クランクの採用により味わいのある鼓動感が楽しめる。

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平たいヘッドカバーに冷却フィン、別体式ミッション風のクランクケースなど見た目はクラシカルだが、実は大型オイルクーラーにFIと1軸バランサーを備えるなど機能は現代的。

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レトロな雰囲気の丸型LEDヘッドライトの周囲を覆うヘッドライトナセルは美しく塗装されたアルミダイキャスト製。アッパー&アンダーブラケットと一体化したデザインがカスタムテイストを感じさせる。

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ティアドロップ型のレトロ感漂うスチール製フューエルタンクは容量13.8Lとツーリングにも十分な容量。レトロタイプのタンクキャップ手前に入るロゴもワンポイント。

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横から見ると宙に浮いたように見えるサドル型「バケットシート」がユニーク。日本での市販モデルは2人乗り可能なダブルシート仕様だが、ワンタッチでリアシートを取り外して本格的なリアキャリアとしても使える仕組みになっている。

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倒立タイプのフロントフォークはSHOWA製のSFF-BPを採用。ダンパーとスプリングの機能を左右で分離し大径ピストン化することで軽量化とスムーズな作動性を実現。ブレーキはφ320mmシングルディスク+ BYBRE製2Pキャリパーを装備。

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リアには同じくSHOWA製ツインショック(5段階プリロード調整付き)を採用。ブレーキはφ300mmシングルディスク+ BYBRE製2Pキャリパーで、前後別々に作動する2チャンネルABSを標準装備。

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すらりと後方に伸びたサイレンサーは昔懐かしいピーシューター(豆鉄砲の意味)タイプを採用。キャタライザー装備でもちろん最新の排ガス規制に対応する。

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アナログ式速度計にデジタル多機能ディスプレイを内蔵したネオレトロなデザイン。右側には矢印で距離と方向を示すTripperタイプの簡易ナビゲーションシステムが付く。

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ブランドロゴ入りの樽型グリップにイグニッションスイッチも昔懐かしいロータリー式を採用するなど、ディテールへのこだわりもマニアックな魅力になっている。

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丸みのあるデザインに重厚なピアノブラック塗装が施されたレトロ感溢れるスイッチボックス。操作しやすいすっきりとしたシンプルな作りで安心感を与えてくれる。

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高めのハンドルとミッドコントロールのステップ位置のおかげで、上体が起きた自然なライディングポジションがとれる。シート高795mmと低めで足着きも良好。リラックスして乗れるので疲れにくい。ライダー身長179cm。

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