掲載日:2018年07月23日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
従来モデルであるMT-09トレーサーとトレーサー900は一見すると非常によく似ている。デザインとしては、前モデルのイメージをうまく引き継いだ正常進化といえるだろう。ところがスクリーンやヘッドライト周りの造形、ハンドルバー、ブラッシュガード、シート、サイドケースマウント部やグラブバーのデザインなどはすべて新しい設計となっている。そして、スイングアームは60mm延長され、車体幅は100mmも狭くなっているなど、実はかなりの変更を受けてブラッシュアップが図られているのだ。
左が2018年式トレーサー900GT ABSで、右は筆者の2016年式・初代トレーサー900。とても良く似ているがスクリーンやブッシュガード、シュラウド風パネルなど各部のデザインは異なっている。
上級グレードであるトレーサー900GTには、専用の装備としてフルアジャスタブル式のフロントフォーク、リモート操作が可能なプリロード調整式のリアショック、クイックシフター(シフトアップのみ対応)、クルーズコントロール、グリップウォーマー、フルカラーTFTマルチファンクションディスプレイメーターが与えられている。これだけの装備がプラスされているのに、トレーサー900とGTの価格差は8万6400円(税込み)。GTはかなりのお買い得モデルといえるだろう。
初代モデルのオーナーとしてまず注目したのはハンドル周りだ。MT-09トレーサーはアドベンチャーモデル寄りのハンドルポジションで車体幅は950mmもあり、渋滞時にすり抜けをする気もおきないほど幅広で、しかも着座姿勢を取った際にハンドルが遠い印象だった。それが、トレーサー900では一気に100mmも狭くなり車体幅は850mmに。そして、やけに存在感の大きかったブラッシュガードもかなり小ぶりになった。要するにいたって普通の車体幅とポジションになったのだ。トレーサーを購入して真っ先に行ったのが車体幅を狭めるためのハンドルバー交換だった筆者からすると、非常に羨ましいポイントといえる。
次にチェックしたのがスクリーンだ。前モデルよりも若干大きくなり防風性が高められたということだが、気になったのは高さの調整方法だ。MT-09トレーサーではスクリーン両脇のノブを緩めて3段階だったものが、スクリーン内側のツマミを片手で握るだけで簡単に10段階の調整ができるようになった。自分の愛車ではちょっと面倒であまり高さ調整はしていなかったが、これなら街中と高速など、走行条件の違いに合わせて気軽にスクリーンの高さを変えられそうでちょっと羨ましい。
さらに注目したいのがGT専用装備となるフルカラーのメーターだ。資料写真で見ていた時は「メーターは今のモノクロ液晶で十分だ」と思っていたが、実際にカラー液晶の発色の良さと、炎天下や夜間での表示の読みやすさを体験してしまうと、愛機のモノクロ液晶メーターに物足りなさを感じてしまった。
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