
掲載日:2018年01月29日 試乗インプレ・レビュー
Text / Takeshi Goto Photo / Takao Isobe
今年、ミドルクラスを面白くしてくれるのではないかと思っているのがニンジャ400。2018年の春に登場する新型ニンジャ250の兄弟モデルだ。250スポーツの盛り上がりの影に隠れてしまって、あまり注目されていないがこのバイクは面白い。ビッグバイクに乗るライダーでさえ夢中にさせてしまうくらいの魅力がある。実際、僕は夢中になって走り回ってしまったのだ。
ニンジャ400の従来モデルは650のスケールダウンだった。動力性能は十分だったが車体は大柄で性格もツアラー的なものだった。しかし今回はコンセプトからして完全に異なる。スポーティーなニンジャ250の車体に高トルクの400ccエンジンを搭載してしまったのである。フレームや外装、足周りはニンジャ250と完全に共用だから、2台並べても排気量のロゴやリアタイヤのサイズを見なければ見分けがつかないほど。
250クラスの中でも軽量なニンジャ250の車体に400のエンジンを搭載しているのだから、その走りがかなり元気なのだろうとは予想していた。250のエンジン特性でトルクが1.5倍になるのなら走りはなんとなく想像がつく。けれどそのパワーフィーリングの違いは排気量の差どころではなかった。
低回転でクラッチをつないでスロットルを開けた瞬間、タタタッとツインの鼓動感と共にマシンがガンという感じで押し出されたのだ。
この力強さには面食らった。エンジンの特性がニンジャ250とはまったく違う。超高回転型にしてパワーを稼ぎ出すようなことをしないからパワー特性にも無理がない。そのため低中速のトルクが排気量の差以上に増えているのだ。
サーキットではコーナーの立ち上がりで5,000~6,000回転付近からスロットルを開けるとリアショックが沈んでタイヤにトラクションがかかる様子がわかる。立ち上がりでなかなか加速していかない250とは大変な違いで、こうなるとスロットルワークでマシンをコントロールできるようになるからスポーティーに走らせようとした時に俄然楽しくなる。もちろん250ほど高回転は回らないけれど、それでもレブリミットは1万2,000回転からだ。十分過ぎるほどである。
スロットルを開けていくと力強くなってくるのは6,000回転くらいから。ここから上は回転の上がり方もシャープで気持ち良い。低回転の力強さと高回転の気持ちの良い伸び。走り方によって二つの領域を使い分けすることができる。ストリートや街は6,000回転以下で十分走れてしまうし急かされる感じもない。そしてワインディングでは心地よい吹け上がりの高回転域。軽量な車体ということもあって加速感はビッグバイクに乗りなれたライダーにとってもまったく不足ない。加速そのものというよりもツインのビートを感じながら速度を上げていく加速の質が心地良いところも評価したいところ。
もちろんすべての点でニンジャ400が上だと断言するつもりはない。ニンジャ250にも回して走る楽しみはあるし、レースに出るのなら250しかない。けれどその他はニンジャ400に軍配があがる。車検などで維持費がかさむのは確かだが、この楽しさはコストの差を補っても余りあるように思う。
ニンジャ400は久しぶりに登場したライトウェイトスポーツという感じだ。このパワー感とハンドリング、車体のサイズは休日の峠を楽しむのにビッタリ。多くの人に乗っていただきたいマシンである。
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