
掲載日:2017年12月26日 試乗インプレ・レビュー
Text / Takeshi Goto Photo / Takao Isobe
カワサキからZ900RSがデビューした。Z1に乗るオレとしてはとても気になる。カワサキからZをここまで強くオマージュしたマシンは今までなかったからだ。古いZはこのさい関係ないだろ、っていう意見も聞こえてきそうだがそうではない。Z900RSのことを色々と説明する前に、なんでZがここまで人気になっているのかを考えるべきなのだ。
オレがZ1に乗っているのは古いからとか、スタイルがいいからというわけではない(多少はある)。走った時に一番楽しいからだ。エンジンの力量感とか実用速度域の運動性の素晴らしさ。キチンと整備されたZはまるでライダーの手足になったかのように自由自在に動く。スパッとバンクさせて立ち上がりでドロロロロと加速していく感動。あれを知ったらいまどきのネイキッドに乗り換えようとは思わない。
かのBITO R&Dの美藤社長はよく「カワサキの技術者もZ1に乗るべきなんですよ」と言う。本当にその通りなのである。社内にZ1を置いて自由に乗れるようにするべきだろう。そしてZ1を超えているか、じっくりと考えるべきなのだ。
ちなみにW650とW800は、とても売れたけれどそういうことはしていなかった。形と名前だけWに似せたのである。今回のZ900RSもそんな感じなのかと思った。実際、オレの周囲のバイク乗り達はそういう考えのやつが多かった。「輸出仕様のZ900の外装変えただけでしょう? 走っても今までのZ900と一緒だから期待できないって」
それを聞いてやっぱりそうだよなあ、なんて思っていた。そして試乗してその通りだったらケチョンケチョンに書いてやろうと思っていたのである。今回の試乗に行く時も原稿の依頼をされた媒体には事前にそう伝えている。なんでって、そうじゃなかったらZ1に乗るゴトーがレポートする意味がないからだ。
そしてついに訪れた試乗会。初めて乗ることになったZ900RSは佇まいが良かった。各部を細かく見ていっても安っぽいところがない。初代Zのイメージをもたせながらも完全に新しいデザインになっている。
けれど驚いたのはエンジンを始動した瞬間。ズドンという地響きのような迫力と共にエンジンが吹け上がった。周囲の空気がビリビリと震える。空冷4気筒好きなライダーが夢中になりそうなフィーリングだ。けれどZ900RSの素晴らしいのは走り出してからだった。クラッチをつないで走り出した瞬間、図太い低速トルクで車体がグイッとおし出された。これまでの水冷ネイキッドとはまったく違うフィーリングだったのである。
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