
掲載日:2017年05月02日 試乗インプレ・レビュー
レポート/和歌山利宏 写真/SUZUKI、和歌山利宏 記事提供/ロードライダー編集部
ここ、フィリップアイランドを走るのは10年ぶり。マシンは同じGSX-R1000の2007年型、第一世代車の最終型だった。そのことで強烈に思い出すのは、185psを発揮するもリアタイヤがトラクションを伝えきれず、悪戦苦闘を強いられたことだ。
そして今日、乗るのは、第三世代に進化した最新型、それも上級モデルの1000Rである。
GSX-R1000R
エンジンは、第二世代機からさらにコンパクト化され、202psを発揮。ワイドレンジの高性能化を目指し、動弁系や吸排気系にモトGPマシンからの還元であるデバイス類も投入される。フレームもGSX-RRの流れを汲みスリム化され、剛性バランスが理想化されている。
電子制御もモトGP直系で、6軸のIMU(慣性測定ユニット)を搭載。ABSもトラクションコントロールも、IMUが感知したヨー、ロー、ピッチ3軸の運動状態から制御される。コーナリング時も状況に合わせて最適化される。
GSX-R1000R
そんな最新型の走りは、言わずもがな、10年前のそれとは別次元にある。速い上に操りやすく、悪戦苦闘などすることなく、ライダーを恐怖に陥れがちな挙動までもが排除されている。
最高出力202psは最強でも、トルク特性もスロットルレスポンスもスムーズで扱いやすく、強力な低回転域から高回転域に向かって淀みなく吹け上がっていく。
GSX-R1000
コーナーの立ち上がりでは、先のトラクションコントロールが作動、スライドと再グリップが繰り返される。さらに、その周期とサスペンションの動き、フレームのしなりがシンクロし、マシンは表情豊かにコントロール性を高めてくれる。バランスフリーサスペンションは、しなやかで煽られることなく、そんな動きを制御。フレームもしなやかにしなりながらも、芯がぶれることがない。まさに絶妙だ。
両バージョンの基本構成に差異はないが、上級モデルの1000Rは、前後サスペンションにショーワのバランスフリータイプを採用。また、アップダウン両効きのオートシフターやローンチコントロールも装備される。このオートシフターのシフトダウン機構は優れており、試乗中、一度の誤作動もなかった
ブレーキの効きも、そのコントロール性も抜群である。しかも、ABSはリアリフトやバンク角に対しても制御が働く。突っ込み過ぎてリアが激しくホッピングしかねない状況でも、安定性を維持。それは、自分がうまくなったような錯覚に陥るほどだ。
旋回性も高く、体重移動の自由度が増したライディングポジションを生かして、ダイナミックに身体を動かせば、しっかり曲がる。
一貫して追求されてきた「走り、曲がり、止まる」の基本性能が向上していることに加え、最先端の電子制御技術が、それを有機的に昇華させていることが印象的な最新型GSX-Rである。
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