

掲載日:2015年02月12日 試乗インプレ・レビュー
レポート/和歌山 利宏 写真/MV AGUSTA Motor S.p.A. 記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです
MVアグスタは、3年前にミドルスーパースポーツのF3 675を登場させ、その後も、そのネイキッド版であるブルターレ675と800、そしてF3 800、ストリートモタードのリヴァーレと、3気筒シリーズを充実させてきた。高級路線のF4シリーズに対し、新しい3気筒シリーズは、価格もリーズナブルで、様々なカテゴリーにラインナップを広げることで、新しいユーザー層を獲得。MVアグスタは中堅イタリアンメーカーとしての地位を確立しつつある。
そしてさらに3気筒シリーズの充実にも余念がなく、1年前にはブルターレの派生モデルであるブルターレ・ドラッグスターを追加したのだ。
そのスペックはブルターレの基本に変わりはなく、車重も基本ディンメンションも変わらない。しかし、外装パーツやスイングアームマウントのライセンスプレート、バーエンドミラー、200サイズのワイドリヤタイヤなどによって、イメージは格段にアグレッシブに変貌している。
アグレッシブなのは、スタイリングだけではない。走りも見た目を裏切らず、アグレッシブなのである。
リヤタイヤがワイドになったことで、相対的にフロントタイヤが細くなり、フロントに舵角が付きやすいのだが、その舵角を生かして曲げるには、しっかりタイミング良くフロント荷重しないといけない。ライセンスプレートがスイングアームマウントになったことで、わずかながら前輪分布荷重が小さくなっているから、なおさらである。
そのため、ライポジにも変更が加えられている。シートはストッパーを前方に設けるなどで、着座位置を少々、前方に移動。ハンドルもわずかに開き気味で、ライダーが前方に乗るようにアレンジされている。
その差は、跨っただけでは認識できないぐらいなのだが、ドラッグスターに合ったコーナリングにトライするうちに、ライポジの狙いに気が付く……といった具合だ。
つまり、優等生的なブルターレに対し、こちらのドラッグスターは、より熱い走りを楽しめるキャラクターとなっているのである。
さて、ここで今回、紹介するのは、そのドラッグスターの上級バージョンであるRRだ。
イタリアで本国仕様車に試乗した後、『SPA直入』で大型サイレンサーが装着された国内仕様車にも試乗。ECUはまだ最終仕様でないとのことだったが、出力特性にあまり差がないことを確認した。本国仕様の素晴らしさは損なわれていない
上級モデルらしく、外装パーツの随所に手が入れられており、華麗とも言える美しさが漂う。その極め付けは前後のスポークホイールである。特にリヤは片持ちスイングアームに取り付けられる非対称タイプで、スポーク取り付け位置は大きくオフセットされ、ワイドリムの迫力と相まって、インパクトも強烈だ。
そしてエンジンは、最高出力が標準モデルの125psから140psに高められている。最大トルクや最高出力の発生回転数も高くなっているのだが、決して高回転型になっているわけではなく、標準型に対し、プラスアルファが上乗せされていると考えていい。
それだけではない。低中回転域のエンジンマナーは標準型よりも良好なぐらいで、むしろ扱いやすい。3,000rpm以下の低回転域でトルクを薄く感じることはなく、普通に走ることができる。それに、性能曲線では中回転域トルクに大差ないのだが、中高回転域に向かってスムーズに繋がっていく。電子制御の進歩もあって、燃調もピッタリという感じで、スロットルに忠実にレスポンスしてくれるのだ。
はっきり言って、標準型と比べてのネガはなく、全てにおいて優れていると言って、差し支えない。30万円ほど価格が高いだけのことはある、と思わせるほどである。
140psのフル加速では、ステアリングに振れも生じるが、RRに装備されたステアリングダンパーを強めに効かせると収まる。DLCコーティングされたアルミ製インナーチューブは、作動性と路面追従性も良好。スポークホイールによるハンドリングへの悪影響もない。何ともスペシャルな上級バージョンである。
車両の基本は標準型と同じだが、最高出力が125psから140psに高められ、リッタークラスに相当するパワーウェイトレシオを実現した。電子制御装置も刷新され、完成度を高めている。また、スポークホイールを装着するなど、アグレッシブな走りに合った強烈な個性を放つ
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