

掲載日:2014年12月18日 試乗インプレ・レビュー
取材・文/佐川 健太郎 写真/山家 健一 動画/倉田 昌幸 衣装協力/HYOD
まず違うのが見た目だ。ロードツアラー然としたSTDモデルから一転して、ワイルド感漂うアドベンチャースタイルになった。尖がったクチバシを備え、ホイールがスポークになっただけでこの変貌ぶり。もうオフロードを走りたくなってしまうのだから、デザインの力とは凄いものだ。
STDモデルでも感じたが、エンジンはマイルドですこぶる扱いやすい。90度Vツインを採用するメーカーは数あれど、Vストロームほど低速から穏やかで粘りがあるエンジンキャラクターは、そうはない。Vツインらしい鼓動感を持ちつつも、スムーズできめ細かい回転フィールなどはパラレルツインのようでもある。穏やかな出力特性である分、どこでもしっかりスロットルを開けていけるので、気持ち良くキビキビと走れるのもミドルクラスのメリットだ。
また、極低速も直列4気筒エンジン並みに粘るし、ハンドル切れ角も豊富なので、リアブレーキで制御しながらのUターンも楽々こなせるなど、実用域での使い勝手にも優れている。
大柄でシートもそこそこ高いので、取り回しには気を遣う部分もあるが、走り出してしまえば見晴らしのいいアップライトなライディングポジションは快適そのものだ。
高剛性のアルミツインスパーフレームと前後150mmのストロークを持つ長い足により、高速道路での安定性や快適性も非常にハイレベル。実用的な大型スクリーンが走行風を和らげてくれるので、ロングランでも疲れにくい。特筆したいのがバックミラー。縦横ともにワイドで後方がよく見えるだけでなく、ミラー自体が風避けになってくれるので、頭を左右に振ったときも楽なのだ。
ハンドリングはSTDモデルと同様、フロント19インチということで倒し込みでの操舵レスポンスは穏やかだが、一旦旋回に入るとオン・ザ・レール感覚で安定したラインを描ける。XTはワイヤースポーク仕様となったことで、路面ギャップ通過時の衝撃吸収性が良くなり、結果として乗り心地がよりソフトになった感じがする。と同時に重量もやや増しているせいか、レーンチェンジなどでの挙動はより落ち着いたものとなった。
サスペンションはSTD同様、ロード寄りの設定であり、ストローク量は多いがコシ感もあって深いバンク角でも十分コーナリングを楽しめるものだ。
XTを総評すると、STDモデルのコンセプトであるスポーツエンデューロツアラー(スポーティに長距離を駆ける旅バイク)は変わらないものの、さらに一歩、踏み込めるエリアを拡張したモデルと言えそうだ。そして何といっても、冒険への憧れを一層かき立ててくれるに違いない。
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