

掲載日:2014年10月30日 試乗インプレ・レビュー
取材協力/ヤマハ発動機株式会社 取材・文/友野 龍二 写真/山下 剛
MTというネーミングが誕生したのは、1999年の東京モーターショーでのこと。“鼓動”をキーワードに、走ることの楽しさを追求したこのコンセプトモデルの開発には5年の歳月を要し、2004年に空冷OHV、排気量1,670ccのV型ユニットを搭載した市販モデル『MT-01』が登場した。MTという名称は、メガトルク・メガツイン・マッシブツインの頭文字から名づけられたという。その後、2006年にはXT660系のシングルエンジンを搭載し、イタリアで生産が行われた『MT-03』という派生モデルも姿を現したが、どちらも2009年で生産を終了した。
そして2014年4月には新開発の846cc直列3気筒エンジンの『MT-09』によって再びこの名が復活。8月には同じく新開発の689cc直列2気筒エンジンを搭載した『MT-07』の発売に至った。このMT-07も、スピードではなくテイストを前面に打ち出したMT-01開発当時の思想を色濃く受け継いでいる。
次世代スタンダードを目指すMT-07の開発にあたって重視されたポイントは『誰が見ても格好いいと思えるスタイリング』と『バイクらしい解放感をともなった加速感』のふたつであった。これを成し得るためにMT-07は企画立案から順次バトンを引き継ぎながら進める従来のプロセスは用いず、企画、デザイン、設計、営業、販売など、携わるすべての人々が開発初期段階から議論を重ねたのである。
MT-07のスタイリングには人とバイクが融合する刺激的な形を求めた。その結果、車体上側は気軽に扱えるようスリムでコンパクトに作られつつもダイナミックなラインを描き、車体下側はエンジンからリアタイヤへと伝わるパワーフローを力強くデザインする“ダブルデッキ・ストラクチャー”というデザイン手法が生み出された。
搭載されるエンジンは慣性トルクが少なく、燃焼トルクだけを効率良く引き出す“クロスプレーン・コンセプト”を取り入れた270度クランクの689cc直列2気筒エンジンである。この扱いやすく豊かなトルクを発生させるコンパクトなエンジンの開発に成功したことによって、フレームに過剰な強度を与える必要がなくなり、車体全体の軽量化にも成功したのである。
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