

掲載日:2014年09月25日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/田宮 徹
前後12インチ径ホイールを履いた車体は低く身構えていて、身長167cmの筆者がシートのどこに座っていても、両足の裏がべったりと接地して、さらに膝が曲がる。シート最前部のほうが、若干ながら幅が絞られているが、こちらに座るとフットペグとふくらはぎが干渉しやすく、むしろ少し後ろに座っていたほうが、足着き性に優れる印象もある。
フラットなロングシートは、ソロライディング時にはかなり前後着座位置の自由度が高く、車体を積極的に操るという点でも、ライディングポジションを変えることで疲労を軽減するという点でも、非常に有効である。スリムな車体に対して、ハンドルは幅が広く、窮屈感がないのもうれしい。
空冷単気筒のエンジンは、極低回転域で粘り強く、しかもクラッチのレバータッチやつながりがいいことから、小排気量帯のモデルだがあまり気を遣わずに発進できる。この低回転域からレブリミットまで、とくにどこかの回転域で大きく盛り上がることもないが、かと言ってパワーが落ち込むようなフィーリングもない。つまりフラットな特性で、これが扱いやすさにつながっている。
ちなみに、タコメーターのレッドゾーンは8000回転からだが、実際に引っ張り続けると1万回転近くまで針が上昇する。その際の速度は、1速で40km/h弱、2速で約60km/h。比較的ショートなギア設定で、これもキビキビとした加速感につながっている。
車体は軽く、気難しさはあまりない。二人乗りが日常的に行われる台湾という開発環境も影響してか、柔らかめのフロントフォークに対して、リアショックはかなりハードな設定となっている。プリロードは5段階に調整可能で、これを柔らかいほうから2段目にセットして試乗したが、それでも相当に硬い。このため、アクセルを開けながら曲がるコーナーなどで、やや難しさもあるが、車体が軽くて速度域も低いことから、普通にスポーツライドするぶんには、それほど気にならない。
バンキングはとても軽く、小径ホイールということもあってクルクルと車体が向きを変える。ただし、バンク角は低めで、調子に乗っているとすぐにステップバーを接地してしまうので、ちょっぴり注意が必要だ。
ブレーキは、フロントがディスク式で、リアがドラム式。ごくベーシックな内容だが、車体が軽いことやスピードレンジが低めなことから、制動力を不満に感じることはなかった。台湾マクシス製のタイヤも、十分なグリップ力を発揮していたが、よりハイグリップを求めるなら、ミニバイクレースに対応した高性能タイヤとサイズが共通なので、好みに応じて換装することもできる。
その他、台湾でも各種のカスタマイズは盛んなので、いずれは多くの社外パーツが日本でも入手できるようになるはず。リアショックや外装パーツなどを変更して、より走りを追求したり目立ち度をアップさせたりするのも楽しそうだ。
149.4ccという排気量のおかげで、超コンパクトモデルだが日本でも高速道路に乗ることができる。5速トップギアは、100km/hまでを実用と考えたようなギア比ではあるが、それ以上の速度域まできちんと伸びる。少しの余裕を持って100km/h巡航ができるので、ロングランには不向きな点もあるが、短距離移動なら高速道路も心配することなく走れる。
マニュアルクラッチ式ならではの操る楽しさがあり、カスタマイズベースとしても楽しそうで、高速道路の走行を含めた日常コミューターとしても使える。それでいて価格は約32万円。ビッグバイクユーザーのセカンドバイク候補にもなるタイワニーズだ。
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