カワサキ Z1000 ABS Special Edition
カワサキ Z1000 ABS Special Edition

カワサキ Z1000 ABS Special Edition – それは世界に通用するスーパーネイキッド

掲載日:2014年06月19日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力/カワサキモータースジャパンBRIGHT CORPORATION  取材・文/友野 龍二  写真/山下 剛

カワサキ Z1000 ABS Special Editionの試乗インプレッション

カワサキ Z1000 ABS Special Editionの画像

ライダーに媚びないが決して裏切らない
スポーツする楽しさを教える貴重なマシン

今回試乗するのは、Z1000 ABS Special Editionというネーミングが与えられたモデルであり、ゴールデンブレイズドグリーン×メタリックグラファイトグレイの専用色の車体にリアタイヤのリフトアップ抑制も行うABSが搭載されている。スタンダードモデルとの違いは他にもあり、グリーン表皮のタンデムシート、ゴールドに着色されたフロントフォークと前後ブレーキキャリパー、車体色と一部同色のミラー、ホイールのリムラインなど、まさにSpecial Editionの名に相応しいフィニッシュワークでありながら、価格は僅か6万円アップという実にお買い得な1台である。最高出力や加速タイムなどの数値に囚われず、目指したものはスロットルを開けるほどに心が高鳴り、車体を操るほどに身体が熱くなる“凄み”の性能だという。その性能を探るべく、まずは触れ合うところから始めよう。

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車体を押し引きすると、実際の車両重量より遥かに軽く感じる。これは見た目でも分かるように、マスの集中化が図られているためである。跨ってみるとサスペンションの沈み込み量が少なく、前後に揺すっても動き幅の小さいことに驚かされる。そしてバー形状ながら低く設定されたハンドルと体重移動しやすいフラットで幅広なシート形状から、開発者がこのマシンに何を託したのかが容易に想像でき、思わずニヤけてしまった。イグニッションをオンにするとメータ下部のLCD表示パネル内で液晶バーが回転し、上部のLED表示部ではLED光が左右から発せられ、交差するギミックで迎えてくれる。タコメーターは4,000rpmまでは液晶メーターの左端に上昇バーで表示され、4,000rpmからは白色LEDが左から右へと鮮やかに発光する2段仕掛けが斬新で面白い。

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セルボタンを押すと、1,043ccの水冷4気筒エンジンは静かに目を覚ます。極太で短いサイレンサーから発せられるアイドル音は、音量こそ絞られているものの力強さを感じる調律のとれた音色だ。ギアを1速に入れ、走り出してまず感じるのは、見た目通りの硬派(硬質)な乗り味だ。前後サスペンションともに充分なストローク量が確保されているのだが、タウンユースでは最小限の動きしか感じられず、このマシンが高荷重設定に仕上げられていることを即座に窺い知ることができる。そして矢継ぎ早に2-3-4-5速へとシフトアップした時のエンジン回転数と速度の乗りのバランスがとても気持ち良い。これはリアスプロケットが42/15から43/15へとショート化されたためだ。装着されるD214パターンのタイヤはダンロップがZ1000用に開発したもので、路面からのインフォメーションをライダーに的確に伝達してくれるため安心してペースを上げられる。

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エンジンとタイヤが暖まったところで一気にペースを上げてコーナーへと飛び込む。荒っぽい手法だがポテンシャルを探る自分なりのテスト方法であり、マシンとのコンタクト時間が長くなると体が自然に補正を行ってしまうため、まだ不慣れなこのタイミングを利用するのだ。コーナーへの進入、コーナリング、立ち上がり、それぞれに通過する目標ポイントを設定し、その点を曲線で繋いだイメージラインと実際の走行ラインにどれだけ差が出るかを体感する。そうすることでブレーキの制動力とコントロール性、フロントタイヤの舵角の入り方、そして荷重を受けた前後サスペンションが安定するまでの時間差などによって引き起こされる想定ラインと実走ラインのズレから判断するのだが、Z1000は狙ったラインを難なくトレースしてみせた! スポーツバイクに匹敵するポテンシャルを、たったひとつのコーナーをクリアしただけで証明したのである。

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ZX-6Rにも採用されているフロントフォーク、SFF-BP(セパレートファンクションフォーク-ビッグピストン)が高荷重時に抜群の路面追従性を発揮し、トキコ製モノブロックラジアルマウントキャリパーが確実に制動し、前後で1.5kg軽量化されたホイールが大気を切り裂くような切り返しを可能とする。エンジンもすこぶる元気で、2速ギアでもいとも簡単にパワーリフトする獰猛さを秘めていながらも、淀みなく盛り上がるそのパワーはスロットル操作に応じて精密にデリバリーされるため、不安なく引き出して自在に操ることを可能にする。フレッシュエアを導くインテークの他に、ふたつの吸入通路を追加し、官能的な吸気音を奏でるようサウンドチューニングされていることや、2次バランサーを採用しても心地よく感じられる振動だけは残すなど、随所に施された五感を刺激する工夫がライダーを楽しませ、そして走る喜びを教えてくれる。

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カワサキ Z1000 ABS Special Editionの詳細写真は次ページにて

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