カワサキ ニンジャ 250(2013)
カワサキ ニンジャ 250(2013)

カワサキ ニンジャ 250(2013) – ニンジャ250が待望のフルモデルチェンジ

掲載日:2013年08月15日 試乗インプレ・レビュー    

文/淺倉 恵介  写真/モリヤン

カワサキ ニンジャ 250(2013)の試乗インプレッション

カワサキ ニンジャ 250(2013)の画像

痛快なエンジンと扱いやすいシャシー
パッケージの完成度が光る

全く新しくなったニンジャ 250 は、実車を目の前にすると、エッジの効いたフォルムが実にカッコいい。先代モデルはニンジャを名乗ってはいたものの、スタイリングは 250 独自のもので、曲線を多用したデザインは、どちらかと言うと柔らかな印象を受けた。だが、新型になってイメージを兄貴分のニンジャシリーズと共有。ニンジャの末弟らしく、アグレッシブな表情となった。これだけでも新型は買いだ。実際に大ヒットしているのだから、このモディファイは大正解ということだろう。

跨がって最初に目に入るのインスツルメンツパネルは、アナログ式タコメーターと、多機能型液晶パネルを組み合わせた流行のコンビネーションタイプだが、質感の高さはクラスを超えている。先代モデルの3連アナログメーターは、視認性こそ悪くなかったが、どうにもチープな印象が気になっていたのだ。この部分だけでなく、新型ニンジャ 250 のエクステリアは、全体的にかなり質感に優れている。ファーストバイクとしての所有欲を満たすのに十分な仕上がりだ。

カワサキ ニンジャ 250(2013)の画像

走りの気持ち良さもなかなかのモノだ。伝統の180度クランクエンジンは本当に高回転が気持ち良く回る。5,000 回転も回っていればクルマの流れをリードするには十分だが、本領を発揮するのは、やはり高回転。パワーバンドは 7,000 回転から上で、1万回転をキープすれば、かなりエキサイティングな走りが楽しめる。もっとも、走っていれば意識せずともその辺りの回転域を使っているはずだ。高回転をキープするのは、別に難しいことではない。楽しく走れば自然に高回転を使う、そういうバイクなのだ。また、レッドゾーン手前でエンジンは “もう一伸び” を見せるので、必ず味わって欲しい。

このように、ニンジャ 250 のエンジンは実に高回転がいい。だが、その分低速域で弱く感じる部分があるのも事実。特に先代のニンジャ 250 R はその傾向が強かった。発進で気を遣うほどではなかったものの、無意識のうちにクラッチミートの回転数を上げていることはあった。その点、新型の低中速トルク特性は好ましい。トルクが太くなった…と、までは言い難いのだが、パワーの繋がりがよりスムーズになり、低回転域の扱いやすさが大幅に増した。日常使用で多用する部分なので、好ポイントだ。

カワサキ ニンジャ 250(2013)の画像

軽快なハンドリングも好ましい。ピッチングさせやすいセッティングなので、コーナーの手前でスロットルを閉じるだけでフロントが沈み、コーナー進入の準備をバイクが勝手にしてくれる。難しいことを考えずとも、実にイージーにコーナリングしてくれるのだ。リアを軸に、フロントを動かす基本セッティングは先代モデルから継承されたもの。サスペンションのダンピングが若干高められているのか、動きも全体的に “しっとり感” が上がっている。だが、ラフなブレーキングをすると車体姿勢が落ち着かなくなることがある。これはサスペンションが柔らかめのためだ。万人向けのハンドリングを考えるといたしかたない部分だろう。けれど、エントリーユーザー向けのバイクだから…と、見切りをつけるのは早い。ニンジャ 250 のシャシーにはその先がある。多少速めかと感じるレベルのスピードでコーナーにアプローチしてみると、キレイに前後タイヤに荷重がかかり、かなり気持ち良いコーナリングが決められる。これには、剛性バランスが見直されたフレームも貢献しているのだろう。ブレーキも十分以上なストッピングパワーが持たされているが、フィーリングはもう少し高級感が欲しい気もする。だが、パッドの変更だけでも大きく変わる部分であるし、シングルディスクだからマスターシリンダーやキャリパーを交換するコストも安い。カスタマイズの楽しみと考えた方が良いだろう。

カワサキ ニンジャ 250(2013)の画像

気になる部分を挙げるとすれば、ウインドプロテクションだ。ニンジャ 250 のカウリングは実にスタイリッシュ。低く構えたアッパーカウルは、ニンジャの名に恥じぬスパルタンな雰囲気。だが、低めのスクリーンのおかげで、かなり上体を伏せないとその恩恵には預かれない。スタイリングと相反する、リラックスしたライディングポジションであることも理由のひとつ。意識して伏せなければ、スクリーンからの風はライダーの胸から上に直撃する。法定速度内であればさほど問題になるわけではないし、カウルのファッション性はニンジャの大きな魅力だ。だが、せっかくのフルカウルなのだから、機能的にも活かしたいと思うわけである。ハンドル位置を下げ、ステップ位置を上げた、よりスポーティなバージョンが存在しても良いのでは? と考えるのは贅沢か…。

スタイリングが一新され、動力性能と車体の熟成が進められたニンジャ 250。日本のバイク界で、久々の大ヒットモデルとなっているわけだが、売れる理由も納得できる。スタイリッシュで、エンジンは楽しく、誰もが楽しめる車体を持つ。まとめてしまえば「優秀なバイク」と言う他ない。製品として優れているから売れているのだ。250cc クラスのトレンドリーダーとして、その座は当分揺るがないだろう。

カワサキ ニンジャ 250(2013)の詳細写真は次ページにて

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