ドゥカティ ハイパーモタード
ドゥカティ ハイパーモタード

ドゥカティ ハイパーモタード – 先代のデザインを継承しながらさらに乗りやすく進化

掲載日:2013年06月12日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/山下 剛  取材協力/Ducati Japan

新開発の水冷Lツインエンジン テスタストレッタ11° を搭載
先代のデザインを継承しながらさらに乗りやすく進化

ハイパーモタードは 2005年のミラノショー(EICMA)で発表されたモデルで、MH900e やスーパーバイク 999 をデザインしたピエール・テルブランチがドゥカティで成したデザインのうち最後の作品だ。モトクロッサーの流麗なスタイリングをモチーフとしたロードバイクで、排気量 1,078cc のデュアルスパークエンジンをトレリスフレームに搭載、前後 17 インチアルミキャストホイールを装備したスーパーモタードスタイルとして誕生した。

そのスタイリングはテルブランチらしさ、そしてドゥカティらしさに満ちた秀逸なスタイリングで、EICMA で発表されるとすぐに世界中の熱い視線を浴びた。そして 2007年に量産開始となると、そのライディングフィールにドゥカティスタたちは歓喜した。しかしながら刺激にあふれるそれは、コーナー進入時のブレーキングではリアを積極的にスライドさせやすいサスペンションセッティングになっており、180kg を切る車重と 95 馬力を絞り出すデュアルスパーク空冷Lツインエンジンの組み合わせは、万人がその性能を存分に発揮できるものではなかったことも事実だ。

イヤーモデルが更新されるたびにサスペンションセッティングは煮詰められていき、次第に誰もがその乗り味を堪能できるものへと変化していく中で、空冷 803cc のLツインエンジン「デスモデュエ」と湿式クラッチを搭載したハイパーモタード796 が 2009年に追加。翌年にはハイパーモタード1100 EVO となり、上位モデルとしてハイパーモタード1100 EVO SP が追加された。

しかし 2013年のフルモデルチェンジで、1100 と 796 の2種類があったエンジンは水冷 821cc のLツインエンジン「テスタストレッタ11°」に一本化され、スタンダードモデルとなるハイパーモタードをはじめ、前後サスペンションとホイール、タイヤがアップグレードされるハイパーモタード SP、さらにサスペンションストロークを短くしてシート高を落とし、スクリーンやパニアケースを装備してツーリング向けとしたハイパーストラーダの3グレードラインナップとなった。

ドゥカティ ハイパーモタード 特徴

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エンジン、シャシーともに扱いやすさを重視した進化
より多くのライダーが楽しめるバイクへ

ハイパーモタード 写真スタイリングについての印象は、私が語るよりも写真を見てもらったほうが話が早いので省略する。とはいえ一点だけ言及すると、たしかに視認性は格段に向上したが、バーエンドに装着された格納式バックミラーがハンドルマウントとなってしまったのが残念。

具体的には先代の流麗なラインを継承しつつ、デザインのブラッシュアップが図られている。メインフレームはチューブが大径化されるとともに剛性が向上、リアフレームはトレリスからダイキャストアルミ変更、さらに高剛性と耐久性に優れるテクノポリマーを組み合わせた。

第2世代となる 2013年モデルのハイパーモタード最大の特徴は、なんといっても水冷Lツインエンジンの搭載だ。スーパーバイク 848 の流用かと思いきや、ハイパーモタードに搭載されるエンジンの排気量は 821cc で、このために新開発された「テスタストレッタ11°」だ。ムルティストラーダ1200、ディアベル、ストリートファイター848 に続いての搭載となるこの水冷Lツインエンジンは、バルブ開閉タイミングを 11°とすることで、低~中回転域におけるトルク特性を高めており、扱いやすさに優れる。最大出力は 110 馬力であり、先代であるハイパーモタード1100 EVO/SP の空冷Lツインエンジンの 95 馬力よりも高められた。注目したいのは、イタリア仕様と日本仕様に違いがないという点。日本仕様でも 110 馬力という必要にして十二分なパワーとトルクを発生し、排ガス規制と騒音規制もクリアしている。

ハイパーモタード 写真また、新型エンジンはバルブクリアランス調整のタイミングがこれまでの 24,000km から 30,000km へと延長され、耐久性が高められたそうだ。近年のドゥカティの耐久度と信頼性はますます向上していると見ていいだろう。

ディメンションについては、先代比でフットペグが前方へ 70mm 移動、ハンドル位置はよりライダーに近づき、結果として上半身が起きた乗車姿勢となり、乗りやすさが向上した。ちなみに日本仕様にはローシートが標準装備され、イタリア仕様より 20mm(ハイパーストラーダは 40mm)もシート高が下げられている。

ざっとスペックを見たところでは、先代よりもエンジン出力を向上させつつ低回転域での安定したトルクを実現。高剛性かつ軽量なシャシーとよりアップライトなライディングポジションによって、全体的に扱いやすく進化させたのが今回のフルモデルチェンジといえる。…この記事の続きをバージン・ドゥカティで読む

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SPECIFICATIONS - DUCATI Hypermotard

ドゥカティ ハイパーモタード 写真

価格(消費税込み) = 139万円

2013年のフルモデルチェンジで、新開発の水冷Lツインエンジン「テスタストレッタ11°」を搭載。先代のデザインを継承しながらさらに乗りやすく進化した。

■エンジン形式 = テスタストレッタ11° L型2気筒 4バルブ デスモドロミック 水冷
■総排気量 = 821cc
■ボア×ストローク = 88×67.5mm
■最高出力 = 81kW(110HP)/9,250rpm
■最大トルク = 89Nm/7,750rpm
■トランスミッション = 6速
■サイズ = 全長2,100×全幅860×全高1,150mm
■ホイールベース = 1,500mm
■車両重量 = 198kg
■シート高 = 850mm
■燃料タンク容量 = 16リットル
■Fタイヤサイズ = 120/70ZR17
■Rタイヤサイズ = 180/55ZR17

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