スズキ グラストラッカービッグボーイ
スズキ グラストラッカービッグボーイ

スズキ グラストラッカービッグボーイ – ストリートトラッカーの定番モデル

掲載日:2010年05月06日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

今年でいよいよシリーズ誕生10周年
ストリートトラッカーの定番モデル

いまや一般的となった“ストリートトラッカー”というカテゴリだが、グラストラッカーシリーズはその流行の端緒となったモデルだ。2000年代初めにダートトラックレーサーのスタイルを模してカスタムすることがブームとなった時点では同種のモデルは極めて少なく、“純正なのにトラッカースタイル”として登場した同シリーズは、瞬く間にヒットモデルとなった。早いものでそれから10年が経ち、今ではこのカテゴリはすっかり定番となった感がある。特にデビュー翌年に追加された“グラストラッカービッグボーイ”は、メーカーによるカスタムモデルとも言える存在で、派生モデルでありながら同シリーズの看板的存在。今回の10周年という節目においても、ベースモデルを差し置いて記念モデルの装いを与えられているほどだ。今回のインプレッションでは、このグラストラッカービッグボーイ10周年記念車を試乗し、10年に渡るロングセラーモデルとなったこのシリーズの魅力を改めて確認する。ストリートの定番であるこのマシンは、一体どのようなバイクなのだろうか。

スズキ グラストラッカービッグボーイの試乗インプレッション

スズキ グラストラッカービッグボーイの画像

「街中で乗り易い」だけで終わらない走り
意外なスポーツ性能がエキサイティング

バイクの素性は乗ってみるまでわからないというが、グラストラッカービッグボーイはまさにそんなモデルだ。「ストリート向けバイクの走りはどこかせわしなくて…」と言う一般論は、このバイクには当てはまらない。確かに、搭載されている空冷2バルブOHC単気筒エンジンは最新トレールバイクのようにパワフルなわけではないが、軽快なスロットルレスポンスと吹け上がりを与えられており、調教の行き届いたインジェクションは低回転のトルクもしっかりと確保。また、当然のことながら絶対的な速度はスポーツバイクに敵わないが、常用域でも積極的にアクセルを開けていくことができる面白さは印象的だ。フロント19インチ、リア18インチのホイールと、ベースモデルに比べて55mm延長されたスイングアームによって、コーナーリングは穏やかではあるが軽快感がある仕上がりになっており、レスポンスの良いエンジンとの組み合わせも絶妙。車体から伝わってくる情報量が多く、唐突な挙動が少ないため安心してマシンを倒しこめる。適度なパワーとリニアなレスポンスを持つエンジンは、思い切ってスロットルを開けていってもいわゆる“ドンツキ”がなく、ライダーの技量に応じた”ワイドオープン”を楽しめるだろう。街中での機動力が高いのはもちろんだが、ワインディングも中々にエキサイティングで、これほど乗る楽しみを秘めているとは考えてもいなかった。“カスタムがメインのストリート向けバイク”と思っているライダーも多いかもしれないが、グラストラッカービッグボーイの走りは予想以上にスポーティなのだ。限界性能を追求する向きには物足りない部分は多いかもしれないが、気負わずにエキサイティングな走りを楽しめるのは大きな魅力。今回はダート走行も行ったが、フラットダートならそれなりの速度で走行可能だ。河川敷から林道まで道を選ばずに遊べてしまう。一度乗れば、その多才さを実感できるのではないだろうか。

スズキ グラストラッカービッグボーイの画像

もちろん、メインとする街乗りの実力も十分なもの。軽い車体は取り回しもよく、燃費もリッターあたり25km以上と優秀だ。ベースであるグラストラッカーよりシート高が上がっているとは言え、車体自体がスリムなため足着きはそこまで悪くなっておらず、身長174cmの筆者の場合は片足ならべったり、両足なら足裏の半分は着くから、神経質になる必要は無いだろう。また、ワイドなハンドル幅が気になるかもしれないが、実際に乗ってみると気にならないレベルに収まっている。むしろ、適度な幅で押さえがきくため、少し乗ればメリットの方が大きいと感じるのではないだろうか。街中の乗り易さとスポーティな走りも楽しめる素質を兼ね備えていることが、ロングセラーモデルとして支持され続ける理由の一つなのだろう。

スズキ グラストラッカービッグボーイの特徴は次ページにて

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