

掲載日:2010年02月26日 試乗インプレ・レビュー
縦Kエンジン搭載のハイスピードモデル K1200RS
1983年、BMW モトラッド史上初となるマルチエンジンを搭載したKシリーズで、先陣を切って発表された K100 に続き、同年発表された K100RS。縦置きクランクシャフトエンジンは、日本の4気筒モデルとは明らかに違う感触を持ち、高速クルージング性能の高さには、その思想の違いが明白となるモデルだった。そもそも BMW モトラッドの市販モデルでの『RS(レン・シュポルト)』というイニシャルは、量産バイク初のフルフェアリングを装備した R100RS から始まる。その名前には「純粋なるスポーツ」的な意味がこめられ、BMW のトップスポーツモデルにのみ与えられる称号だった。Rシリーズでは後のオイルドヘッドエンジンモデル R1100RS へ、そしてKシリーズでは K1100RS を経て1997年に K1200RS が登場する形で、このイニシャルが継承されていくこととなった。 それまでのスクエアライクなデザインから一変し、丸みを帯びグラマラスなスタイリングとなった K1200RS は、それまで BMW が自主規制してきた100馬力の壁を軽く突破するもので(欧州仕様は100馬力)、日本に上陸したモデルは130馬力ものパワーを持つものだった。しかもそれはただ単に出力が上がっただけではない。BMW モトラッド初のアルミ製ツインスパーフレームを採用し、十分な剛性を確保したうえで、R1100系で成功していたテレレバーをフロント回りに奢った。これにより格段にスタビリティが引き上げられた K1200RS は、本国ドイツのアウトバーンで時速200キロオーバーのスピードで、巡航することが可能な作りこみをしてきたのだ。もちろんそのような速度域からの急減速に備えて ABS も装備している。 今回ピックアップした K1200RS は 2001年に発表された、いわゆる後期型である。一見するとスタイリングには変更箇所が見当たらないように思えるが、アッパーフェアリングの形状、スクリーンの面積、ハンドルの高さなどが外見からわかる変更箇所だ。メカニズム的な面では、パーシャリー・インテグラル ABS が標準装備されたことと、全長で 35mm、ホイールベースで9mm短縮されたこと、そして各減速比の見直しによって、より加速をスムーズに高速巡航を快適にデチューンしている。 |
| 290kgという超ヘビー級の車重と見た目の大きさに、少々抵抗を持つライダーもいるかもしれないが、またがってみると足つきは良好で不安はない。そうは言ってもエンジンを切っての取り回しは重く気を遣う。ライダーは身長178cm、体重72kg。 |
残念なことに、この K1200RS を最後に、Rシリーズ、Kシリーズともに、RSの系譜は途絶えている。現在横置きクランクシャフトエンジンとなったKシリーズでは、車両のキャラクターをハイスピードクルーズとロングツーリングにわけ、Sと GT という2モデルの形となっているわけだが、この縦置きエンジンを搭載した最後の RS の乗り味とは異なる。独特な世界を持つ RS というモデルのことは、これから先も長く語り継がれてゆくことだろう。…この記事の続きをバージン・BMWで読む
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