カワサキ エストレヤ
カワサキ エストレヤ

カワサキ エストレヤ – 「癒し系」モーターサイクル

掲載日:2009年06月11日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

変わらぬ良さと新しさが調和した
ネオクラシック・シングル

趣のあるスタイルに、今となっては珍しいロングストロークのシングルエンジンを搭載したクラシカルなバイクとして、デビュー以来高い人気を誇るエストレヤ。かつてはドラムブレーキモデルやサドルシートモデルなどのバリエーションを展開していたが、2007年に行われたフルモデルチェンジの際に統一され、現在はダブルシートにフロントディスクブレーキを備えた仕様となっている。デビューからすでに17年が経ち、キャブレターを廃してインジェクションを採用するなどの変化はあったものの、基本的なスタイルは今も変わらない。脈々と受け継がれる美しいスタイルとテイスティなエンジンが、新しい技術と融合しどのような進化をとげているのか。試乗インプレッションを通してじっくりと吟味してみよう。

カワサキ エストレヤの試乗インプレッション

カワサキ エストレヤの画像

ゆったりとした時間の流れを味わう
「癒し系」モーターサイクル

今回の試乗はあいにく天候に恵まれず、雨天のなかで行うこととなった。降りしきる雨の中レインウェアに身を包み、早速エストレヤにまたがる。インジェクションだけあって、冷え込む早朝+雨天というバッドコンディションでも、すんなりとエンジンは始動。キャブレター式のエストレヤに比べると心持ちアイドリング音が軽く感じるが、冷間時でも安定感は十分だ。いざ走り出してみると、加速は非常にスムーズ。スポーツモデルのような盛り上がりはないものの、トルクが素直に伸びていく印象で、アクセルのオンオフに対して良い意味でダルな雰囲気だ。多少ラフなアクセルワークを行ってもパワーの変動が大きくないため挙動が乱れず、路面が濡れた状態でも安心してライディングを楽しめる。この車体の安定感については好印象で、高速道路の巡航においても車体サイズのわりにブレが少なく、一定ペースを保ち続けるクルージングはエストレヤの得意分野と言ってもいいだろう。その反面鋭い加速やコーナリング性能などを要求されるスポーティな走りでは、挙動が穏やか過ぎるため物足りなさを感じるかもしれない。とは言え、元来エストレヤはそういった用途向きではないので、致し方ないところはある。

カワサキ エストレヤの画像

このバイク最大の良さ、それはやはり「緩やかに走れる面白さ」に他ならない。バイクはどうしてもスピードを気にしてしまう乗り物だが、このバイクに乗っていると「速く走る」という気持ちがすっぽりと抜けてしまう。独特の響きと味わいがあるロングストロークエンジンを右手でいなしつつ、決して急がずにエストレヤを走らせていると、心地良さに時間を忘れそうになる。ハイパワーなバイクで目を三角にして走るのも面白いし、ビッグツアラーで長い旅を楽しむのもバイクの楽しさかもしれないが、難しいことを考えずに気軽な距離を流して愛車と語らうのも付き合い方の一つ。程よい音量の排気音と控えめな振動を味わうライディングは、エストレヤだからこその心地よさ。忙しい現代においてゆったりと流れる時間を探しているなら、このバイクと共に過ごすことを選択肢にいれておいて損は無いだろう。

カワサキ エストレヤの特徴は次ページにて

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