カワサキ 250TR
カワサキ 250TR

カワサキ 250TR – シンプルなデザインの中にこだわりがキラリと光る

掲載日:2009年03月05日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

カワサキ 250TRの試乗インプレッション

カワサキ 250TRの画像

軽快にどこまでも行ける
スニーカーのような気軽さ

いざ車体を目の前にしてみると、250TRが本当にシンプルなバイクであることが良く分かる。最近のスポーツモデルのような豪華装備を見慣れた目には、その簡素さがかえって新鮮に映る。キーシリンダーがハンドルロック一体式でなく、タンク左下に設置されているのも気の利いた演出だ。クラシカルなカタチのキーを差し込み、セルスターターをプッシュすればあっけないほど簡単にエンジンは始動する。アイドリングの音量は控えめだが、単気筒エンジンらしい歯切れの良いサウンドは好印象。細い車体のおかげで足つき性も良く、身長174cmの筆者だと停車時に両足がべったりと接地する。ハンドル幅や高さも遠すぎず近すぎず、ポジションは非常にリラックスしたものだ。さて、実際に走り出してみると、これがなかなかに面白い。細くて軽い車体はライダーの動きにやさしく追従し、適度な鼓動感のあるエンジンは神経質過ぎないレスポンスで扱いやすい印象だ。フロント19インチ、リア18インチの足回りが生み出すやわらかなコーナリングは秀逸で、寝かしこみから立ち上がりまでの感覚が分かりやすいため恐怖感がほとんどない。スペックだけで見れば決してハイパフォーマンスとは言えないが、スポーツする面白さは十分。むしろ手の中に収まる性能だからこそ、乗っていて苦にならないし、気軽にいろいろな挑戦ができる。あらためてバイクは数値だけで判断してはいけないと感じたほどだ。

カワサキ 250TRの画像

また、もう一つ言及しておきたいのは、250TRの「タフさ」だ。1970年代のトレール車をモチーフにしているためブロックパターンのタイヤを履いており、舗装の荒れなどにもめっぽう強い。バー付きのメッキハンドルの幅は広く、おさえが効きやすいので、多少の悪路でも気にせずに走り抜けることが可能。ポジションの関係もあり、さすがに高速巡航は得意科目ではないが、それ以外は道やシチュエーションを選ばず楽しめるだろう。インジェクション採用で安定感のあるエンジンに、軽量で安心感ある車体からくる乗り易さは、250TRならではの美点。どんなときも気軽に乗れて、どんな場所も軽快に走り抜けられる、スニーカーのように毎日使いたくなるバイクと言えるだろう。

カワサキ 250TR こんな方にオススメ

日常の足からカスタムまで
気軽にバイクを楽しめる

250TRは気軽なバイクだ。軽量コンパクトな車体は取り回しが良いし、フューエルインジェクション採用の250cc単気筒エンジンはリッター25km近い低燃費。複雑な電子部品もついていないので、メンテナンスなどにかかる維持費も少なくローコストで運用が可能だ。また、カスタムにも対応しやすい構造となっているため、比較的容易に自分仕様を作り上げることができるのも特徴。乗って楽しみたいライダーはもちろん、いじって遊びたい人にもおすすめできる、敷居の低いバイクだ。そして、「最近のバイクはハイテクで装備が進化しすぎている」と感じる人はぜひチェックして欲しい。250TRはシンプル・イズ・ベストと言えるバイクだ。

カワサキ 250TR 総合評価

肩の力を抜いて付き合える
親しみやすさに注目したい

「ああ、バイクって面白いなぁ」と思わせてくれるバイクは、意外と多くない。ものすごいパワーに驚いたり、先進の装備に感動したりすることはあっても、ただ乗っているだけで楽しさを感じることは少ないものだ。正直な話、乗る前まではルックス重視のバイクだと侮っていたところはあった。しかし、実際に乗ってみるとその印象はいとも簡単に覆されてしまった。シングルエンジンを右手で操り、全身を使ってこのバイクを走らせていると事前に抱いていたネガティブな印象は吹き飛んでしまう。自分のやることに対して素直な反応を見せ、行った操作に忠実に動こうとする250TR。ライダーとバイクの間に何の隔たりもない、この距離感の近さこそ面白さの秘密なのだろう。思い立ったときにさっと乗れる気軽さと、乗り手との親密度の高さは、見た目だけではわからない。バイクの「素」の魅力を味わえる250TRは、もっと注目されるべき1台と言えるのではないだろうか。

カワサキ 250TRの詳細写真は次ページにて

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