掲載日:2008年02月05日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
ヴェルシスを一目見たときに感じる印象は、今までのバイクと比べた時の「異質感」かもしれない。正面から見ると異型のヘッドライトと小ぶりのスクリーンが新型のツアラーを想起させるが、足元を見れば細やかな調整機構を備える倒立フロントフォークとアルミ製スイングアームがスポーティな雰囲気を漂わせている。見るだけで分からないので軽くまたがってみると、ハンドルはアップライトなポジションでシートは腰を動かしやすい形状となっている。ちょうどツアラーとスポーツの中間のようなスタイルだ。
どのカテゴリーにも所属していなように見えるが、いずれのカテゴリーのテイストをにおわせるスタイルはまさにヴェルシスならでは。最近のバイクに多いゴツめのアルミフレームではなく、鋼管トレリスフレームを採用しているところも面白い。また、マフラーの処理はかなり個性的でフレーム下部にセットされており、低重心化に貢献するとともに独特のルックスを演出している。
また、細部を見ていくと気づくのだが、ライディングだけでなく日常の使い勝手のよさもしっかりと考慮されている。シートはタンデムを考慮した形状となっているだけでなく、パッセンジャーの足にも負担がかかり難い形状だ。タンデムグリップも標準装備されているほか、ステップ部分が荷物積載時にフック等が掛けやすい形状になっていることも好印象。ルックスからくる個性と細部まで考慮されたユーザービリティは、ヴェルシスというバイクの大きな美点と言える。このカテゴライズされない魅力は、こだわりのあるライダーならきっと理解してもらえるだろう。