掲載日:2007年08月01日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
バイクが生きているわけがない。そんなことは分かっている。分かっていても、Z1000のスタイルには、生物の気配を感じてしまう。それもなんだか危なそうな、できれば檻にでも閉じ込めておきたいような、生肉ガツガツ食らってそうな、ケモノの気配だ。そう感じてしまったのは、悔しいかなカワサキの狙いどおり。彼らからのリリースには、「低く身構え。吠え猛る虎…」という言葉が見えるのだから。前モデルにもその気配があったが、新型ではもとよりの前傾姿勢が強調された。しかも、フロントマスクなど各部のエッジが立てられて、獰猛さがいっそう増したようだ。ただし、それは前から、斜めから眺めたときのこと。撮影中、Z1000を遠巻きに移動しながら見ていると、ふっとエッジが消える瞬間があらわれた。「!?」と思って半歩戻ると、そこには、意外なほど柔らかな曲線を持つサイドビューがあった。どうやらシュラウド状のカウルとフロントマスクのラインがそう感じさせたらしい。
また、この位置では、新たに追加されたサブフレームを確認することができるが、デザインの一部として処理されているので、うっかりすると見逃してしまいそうだ。ついスタイリングのことばかりに終始してしまいそうになるが、もちろん本当に刮目すべきは、その装備を含めた車体のパッケージにある。さらに中低速域のトルクが膨らんだエンジンはもちろん、ラジアルマウントされたブレーキキャリパー、インナーチューブ径41mmの極太倒立フロントフォーク、スーパースポーツ同様のユニ・トラックリアサスペンションなど、全てが高いパフォーマンスを実現するために与えられたものばかりなのだ。