ヤマハ SR400
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ヤマハ SR400 – なぜだろう、SRに乗ると旅に出たくなる

掲載日:2007年05月10日 試乗インプレ・レビュー    

ヤマハ SR400の試乗インプレッション

ヤマハ SR400の画像

なぜだろう
SRに乗ると旅に出たくなる

右足のつま先を使って、何の飾り気もないキックレバーを引き出す。キックペダルを軽く踏み、重くなるところ(圧縮上死点)でペダルを確実に戻す。ハンドル左側のデコンプレバーを引き、ほんの少しペダルを踏み下ろすと、インジケーターが始動しやすいポイントを教えてくれる。キックスタートに不慣れな人なら、この方法を忠実に守れば簡単にエンジンは始動する。キャブレターのチョークレバーを引き、いよいよキックペダルを踏みおろす。ペダルは力任せに蹴るのではなく、下に押し付ける感覚が良い。いわゆる“ケッチン”にビビって、恐る恐る踏むのが一番危険だ。ステップに当たるまで思い切って踏み込めば、痛い目に遭うことはない。よく、ビッグシングルのキックスタートはベテランでなければ難しいという話を耳にするが、決してそんなことはない。初心者だろうが非力な女性だろうが、やり方を把握していればSRのエンジンは簡単に始動してくれる。事実、ボクの身の回りにもたくさんのビギナーたちが、問題なくSRに乗っている。

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今回の試乗車も、いとも簡単にエンジンが目覚めた。少し暖気してからチョークレバーを戻せば、アイドリングは800rpmほどで安定する。股間の下で399ccの単気筒エンジンが小気味よく震える。ギアを入れアクセルを開けると、エンジンはさらに震え出す。強烈なパンチもないし、突き抜けていくような加速の伸びもない。だけどそれで良い、これこそがSRの魅力。マイルドな出力特性で扱いやすい。親しみやすいエンジンはさておき、いつだって感じるのはハンドリングが軽くてニュートラルだということ。ワインディングに入ればヒラヒラと車体が寝てくれ、スポーツライディングを楽しむことができる。オーソドックスなオートバイというイメージばかりが先行するSRだが、この身軽さも忘れてはならない。オートバイの原点という表現はルックスだけでなく、このハンドリングの軽快さにも当てはまっている。

もちろん、高速道路を飛ばして走るのはキツイ。細かい改良が何度となく施されてきたものの、基本構造は1978年に登場したオートバイ。現在のせわしない道路事情の中、先頭を切って走るのは馬鹿げている。追い越し車線には出ず、クルマの流れに乗ってゆったりとした気分で走ろう。そんな気持ちで走れば、どこまでも走り続けたくなる。カウルもなければエンジンも非力、長い時間乗ればオートバイならではの独特の疲労感で全身が包まれる。しかしなぜだろう、四輪車のような快適性を謳い長距離ツーリングを得意とするリッタースポーツツアラーのような感覚とは180度違うものの、SRに乗ると旅に出たくなる。リヤシートに必要最小限の荷物を縛り付け、オープンフェイスのヘルメットと革ジャンで、あてもなく走りたい。そんな旅には相棒なんていらない、SRだけで十分だ。

ヤマハ SR400の特徴は次ページにて

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