
カワサキ旧Z系でキャストホイール(鍛造を含む)にブレーキディスクを装着するなら、サンスターのトラッドタイプ、3タイプから選べば間違いない。雰囲気はもちろん良いし、品質・精度・パフォーマンスは純正を上回るからだ。
トラッドタイプの主力モデルは、あの頃のSTDデザインでもあった「不等間隔ピッチホールタイプ」(=穴のピッチが等間隔ではない)、スーパーバイクスタイルのS1タイプの「スリットタイプ」、軽量化を重視した「マルチホールタイプ」の3種類だ。いずれもSTDと同外径のφ296mmで厚さは5.0mm。取り付け穴は4つで、PCD(ピッチ円直径)も当然STDと同じ。つまりSTDホイール、キャリパーにそのまま使える設計だ。
OEMからのリプレイスとして使えなければ意味がない。これらの車種用社外ホイールもOEMホイールと同じハブ設計なので、純正取り付け位置であることは重要だ。ディスクだけサンスターを選びたいというユーザーも多い。
材質はステンレスで現代品のパッドとの相性も良好。鋳鉄と違って錆る心配がないのもいい。そしてトラッドタイプはアウターディスクとインナーディスクが別体で、リベットで結合されたリジッドディスクだ。
レースなどパフォーマンスを重視する場合はφ320mmフローティングディスク(T-12Hなど)を選択するだろうが、ストリートでSTDフォークなら、性能はリジッドでも充分だ。熱歪みもこの設計・材質・精度ならば問題ない。
もう少し詳しく見ていくと、3タイプともφ296mm・T5.0mmで、不等ピッチホールタイプ(T-61H)はホール数32穴で、そのホール径はφ9mm。重量は2.20kg。スリットタイプ(T-61SSB)は貫通しないスリットが4本入り2.22kg。マルチホールタイプ(T-61HZ)はφ8mm穴が90穴で、さすがに軽く2.0kgに収まっている。
このホールの大きさや数、スリットの入れ方にノウハウがある。スリットが断面を貫通していないのもノウハウのひとつ。効き・タッチはもちろんのこと、熱歪みや鳴きなどの対策でも、スリットの入れ方はこれが良いのだ。
インナーディスクに刻印されている4.5mmは使用限界厚を示している。トラッドタイプ3種類にパフォーマンスの大きな違いはない。要はデザインで選べばいいのだ。そもそも材質、精度、穴や溝の入れ方など、設計がとても高いレベルにある。この品質の高さは、大切なクラシックZに使った場合にとても安心。クラシックZは現代レベルで見れば何かと不具合があるし、乗り込んでいけば続々と現れくる。その中で命にかかわるブレーキに関しては、何も問題なしとしたい。雨の日に効かないとか、すぐに鳴くのはイヤなものだ。
ブレーキは効力だけでなくコントロール性、レバー位置やタッチ、効力を含めた安定性、耐熱歪み強度など、トータルでバランスしてこそ安心して使える物となる。これらの点で、サンスターはさすがにOMEメーカーであるので、非常に高いレベルで製品が管理されている。この安心感こそ、ブレーキの命だ。
Z1000MkⅡなどキャストホイールモデルに使われた純正タイプデザインの不等間隔ピッチホールタイプT-61H(2万8,000円・税別)。このデザインは当時のカワサキビッグマシンで最も用いられたもの。
Z1-Rにも使われてマルチホールタイプT-61HZ(3万円・税別)。同じφ296mmディスクでも、他タイプより軽量なのが特徴。Z1-R系では初期にI型に採用。Ⅱ型などは不等間隔ピッチホールタイプを装備した。
S1などスーパーバイクイメージのスリットタイプT-61SSB(3万5,000円・税別)。φ296mmディスクのスリットは4本(φ320mmのT-12Sは5本)。S1の純正は鋳鉄φ13インチ(330mm)、6スリットだった。
住所/神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎南3丁目1番31号
電話/045-948-4551
営業/9:00-18:00
定休/土日祝
サンスターは純正部品メーカーでもあり、アフターマーケット製でもその精度・品質の高さは定評がある。そして独自の企画で、このようなクラシックバイク用製品も生まれる。サンスター製ブレーキディスクやスプロケットを取り扱うのは、専門販社の国美コマース(株)だ。