250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう
取材協力/住友ゴム工業株式会社  試乗テスト/和歌山利宏  写真・文/田宮 徹  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2017年8月23日

軽二輪クラスのオンロードスポーツカテゴリーでいま再び注目を集めつつあるのが、ラジアルタイヤの使用。現在、このクラスの新車にはバイアスタイヤが純正装着されていることがほとんどだが、だからこそダンロップはラジアルへの換装をカスタムのひとつとして提案する。二輪ジャーナリストの和歌山利宏氏が、その魅力を紹介!

FEATURE

レーサーレプリカが人気を集めた90年代初頭ごろから、軽二輪クラスでもラジアルタイヤを純正装着したモデルが増えたが、コストなどを重視した結果、近年はラジアルタイヤを採用した軽二輪モデルは皆無に近かった。しかし、2017年型として600台限定で発売されたカワサキ・ニンジャ250ABS KRTウインターテストエディション、さらに2017年大注目の新型として登場したホンダのCBR250RRは、ラジアルタイヤを標準採用。これをきっかけに、既存バイアスタイヤユーザーによるラジアルタイヤ換装もブームを迎えそうなのだ。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

さて、ラジアルタイヤとバイアスタイヤは、同じようなカタチながらその構造が異なる。もっとも大きな違いは、ひも状のナイロン素材やスチール素材が幾重にも巻かれて形成された、タイヤの芯となるカーカス部。ラジアルは、トレッド面と直角になるよう放射状にカーカスが巻かれ、カーカスとトレッドの間に補強の役割を持つベルトが組み込まれているのが特徴。一方のバイアスは、各素材を斜めに巻き、層ごとにクロスされている。

これらの違いが、走りにもさまざまな影響をもたらす。そこで今回は、二輪ジャーナリストの和歌山利宏氏に、ラジアルとバイアスで乗り味がどう変わるのかを検証してもらった。装着したタイヤは、いずれもダンロップ。同社は、軽二輪クラスに対応したHレンジのラジアルタイヤラインアップとして、2017年のニューモデルとなるスポーツマックスα-14に加えて、2014年から展開していてCBR250RRの純正採用タイヤともなったスポーツマックスGPR-300も持つ。一方で比較するバイアスタイヤには、アローマックスGT601を選んだ。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

「バイアスのGT601は、あくまで公道スポーツとしてのバランスを追求。これに対してGPR-300はよりスポーティで、ワインディングでのコーナリングをより楽しめる仕様です。そしてα-14は、サーキットを含めたよりアクティブな走りに対応しています」

3タイプのテストを終えた和歌山氏は、こう切り出した。では、その乗り味はどのようなものなのだろう?

「GT601は、後輪に前輪が追従してくるようなイメージ。リア荷重主体で乗ることで、どんなレベルのライダーでも気持ちよくコーナリングできます。GPR-300は、コーナー進入でしっかり前輪に荷重をかけ、これをスッと抜いてあげることで、フロントタイヤの回頭性が向上して、スポーツライディングしている感覚が高まります。これは、ラジアルタイヤならではの特性。サイドウォールをたわませることで、旋回性が上がります。そしてα-14になると、その傾向がさらに高まります。しかもこのタイヤが素晴らしいのは、そこから深く寝かし込んだときに、フロントタイヤの接地感が一定であるところ。過渡特性が絶妙です」

そして和歌山氏は、「バイアスはタイヤ全体がソフトで、ラジアルはトレッドの剛性が高くてサイドウォールが柔軟というイメージ。ラジアルは柔と剛のバランスがよく、それをうまく使ってあげることで楽しいライディングができます。ベーシックな乗り方をするならバイアスタイヤのメリットもありますが、今回メインでテストしたヤマハのYZF-R25をはじめ、軽二輪クラスで現在人気となっているスーパースポーツ系にはとくに、ラジアルの特性が合うと思います」という。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

自分が求めるキャラクターに合うタイヤの選択肢が増えることが、ラジアルタイヤを含めて銘柄を選ぶメリットだが、さらに和歌山氏はこのように提案する。

「近年の軽二輪スーパースポーツに乗っているユーザーの中には、いずれ大排気量車に乗りたいと考えている人もいると思います。そのような方々にとって、軽二輪クラスに乗っているうちからラジアルタイヤの特性を知っておくというのは、スムーズなステップアップにもつながると思います。フロントタイヤに荷重を掛けて旋回力を生み出す、近年のスポーツライディングでは主流となっているライディングを、もちろん安全には十分配慮しながら、まずは軽二輪クラスで体験してみては?」

PRODUCTS

ダンロップは豊富なラジアル&バイアスで
軽二輪オンロードスポーツユーザーに対応

2017年のニューモデルとなるスポーツマックスα-14は、ワインディングやサーキットでのスポーツ走行を主題としたスポーツラジアル。さらに、ツーリングラジアルのスポーツマックスGPR-300もHレンジに対応している。今回のテストでバイアス代表として比較したアローマックスGT601は、スタンダードなスポーツツーリングタイプだ。

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2014年から展開中のスポーツマックスGPR-300は、小排気量帯に対応するHレンジもラインアップ。ドライ&ウェットの高いグリップ性能と優れた耐摩耗性を高次元でバランスさせた、オールラウンドツーリングラジアルだ。

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「同じラジアルタイプでも、GPR-300とα-14では明確なキャラクターの違いがあります」と和歌山氏。GPR-300の場合、ラジアルの特性を生かしながらも過激すぎないハンドリング特性で、幅広い機種と用途に対応する。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

その高いポテンシャルが話題となっているスポーツマックスα-14は、2017年のニューモデル。レース用カーボンを配合したコンパウンドや数々の最新技術が投入されていて、アグレッシブな走りを提供する。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

α-14の優れた剛性感と接地感、そしてドライグリップ性能が、ハードなブレーキングを可能に。「トレッドの剛性が高くてサイドウォールが柔らかいフィーリングがあるのが、ラジアルタイヤの特徴です」と和歌山氏。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

「ラジアルタイヤの場合、コーナー進入時にブレーキングでしっかりタイヤに荷重をかけ、これをスッと抜きながら旋回することで、優れた回頭性が生まれます」と和歌山氏。イマドキなスポーツライディングが体感できる。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

「とくにα-14は、コーナリング時にフロントタイヤの接地感が一定で、安心して深く車体をバンクさせられます。そこから後輪にトラクションをかけ、シャープに立ち上がっていける感覚」と、和歌山氏はその旋回特性に高評価。

250ロードモデルのラジアル換装で現代的な走りを体感しよう

ダンロップには、最高峰スポーツバイアスとしてTT900GPもあるが、今回のテストではよりオールラウンドなアローマックスGT601をバイアスタイヤの基準として、ラジアルタイヤと比較した。乗り手を選ばぬスタンダードだ。

BRAND INFORMATION

1909年創業の老舗タイヤブランドで、1913年には「自動車タイヤ国産第一号」を生産したことでも広く知られている。現在は二輪から四輪、産業用まで幅広いタイヤを製造・販売している。