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ストリートでもサーキットでも真価を発揮
ダンロップ・スポーツマックスα-14 【Part1 テクノロジー】

  • 取材協力/住友ゴム工業株式会社  写真・文/土山亮  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
  • 掲載日/2017年1月31日

国産のタイヤブランドとして20世紀初頭から自動車用タイヤを製造・販売してきたダンロップ。二輪の世界でも長年にわたって数々の名タイヤを世に送り出してきた。現在も幅広いラインナップを誇る同社だが、ロードスポーツシーンでは看板ともいえるタイヤがある。それがスポーツマックスαシリーズだ。今回は最新モデルのα14にスポットを当てる。

スーパースポーツやスポーツネイキッドを所有するライダーの多くは、マシンのスポーツ性を大きく左右するタイヤの銘柄には常に気を使っているだろう。

ダンロップが新たに発売したスポーツマックスα14(アルファ・フォーティーン)は、スポーツバイクユーザーを満足させる特性を持つ、いま注目のスポーツタイヤだ。

これまで同社ラインナップの中には、スーパースポーツやスポーツネイキッドユーザーをターゲットにしたα13というモデルが存在した。ワインディングやサーキットで意のままに操ることを目的としたアグレッシブなα13は、ドライグリップとタイヤライフ(耐久性)のバランス、さらにウェット性能をも満足させるタイヤとしてスポーツ派のライダーの間で人気を博した。

今回発売されたα14はまさにそのα13の後継モデル。ハンドリングの特性は先代の特徴を踏襲したものだが、α14では先代よりも大きく進化させた部分が3つあるという。

ひとつめは、旋回力を高めつつもハンドリングの「手応え」をプラスして、操る楽しみをさらに高めたこと。ふたつめは、ショックの吸収性を高めながら、さらに接地感と剛性感を両立させたこと。そして最後は、ドライ路面でのグリップ力をα13よりもさらに進化させつつライフ性能も向上させたこと。

では、こうした特徴は具体的にどのように製品へ落とし込まれているのだろう? ここから順に見ていこう。

パターンデザイン

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フロントは進行方向に対してV字型のパターン、一方リアでは逆のV字パターンを採用している。これはαシリーズ伝統の「シェブロンパターン」。タイヤは、トレッド面(タイヤ表面)に溝をどのように配置するかで部分的な剛性が変化する。これがパターン剛性だ。α14のフロントタイヤはバンク角が大きくなるにつれて(サイドに行くにつれて)、パターン剛性が増す味付けとされている。

一方リアタイヤはというと、タイヤ全体で剛性を高めるパターンを採用して、グリップとトラクション性能を高めている。

プロファイル

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ここで言うプロファイルとは、タイヤの断面形状を意味している。フロントタイヤを見ると、α14はα13よりも幅がわずかに狭く、そして断面が尖っていることがわかるだろう。α14はこの形状によりフロントの軽快感をアップさせているのだ。

リアタイヤではトレッド幅をわずかに狭め、α13よりもタイヤのサイドウォール部を長くとったプロファイル。これによりサイドウォール部の柔軟性がアップし、リアの吸収性が向上した。

フロントとリア、それぞれの特徴は上記の通り。だが、タイヤとは前後セットで履くものだ。上の図のように、α14ではリアのタイヤ外径を同サイズの他のタイヤよりも大きくしている。このリア上がりの姿勢を意図的に作り出すことで、キャスター角を小さくして左右のロールへの応答性、つまり寝かしこみのレスポンスを向上させているのだ。

内部構造

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ラジアルタイヤでは表面ゴム層(=トレッド面)の下にアラミド繊維製のベルト、さらにその下にナイロン製のカーカスと呼ばれる構造体が配置されている。α14のフロントタイヤではこのベルトに新製法の2CUTベルト構造を採用し、α13ではバンク角が大きくなるとともに低下していた「手応え」がバンク角に応じて高まるフィーリングを実現した。

また、α14のリアタイヤではベルト張力設計の最適化を行って、中間バンク領域のタイヤ接地圧を高めることに成功。ゴム性能をフルに発揮できるようになった結果、接地感と過渡特性が向上している。このように、前後のタイヤそれぞれでベルト部の見直しを行い、フロントの旋回力とトラクション効率を飛躍的にアップさせている。

ビード構造

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ビードとは、タイヤとホイールリムが接する部分のことだ。ビードには大きな荷重がかかるため、かなりの強度を必要とされるのだが、単純にタイヤの吸収性を高めようとすると、タイヤの剛性を低くする必要がある。しかし、それではスポーツ走行などで高い荷重が加わった時に、タイヤが耐えきれずに腰砕けを起こしてしまう。

そこでα14では吸収性と剛性の両立を達成するために、スリムビードAPEX2という独自の構造(特許出願中)を採用。しなやかさと強さ、この相反するふたつの要素を両立させた。

コンパウンド

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コンパウンドとはタイヤのゴムに使用される素材のことで、タイヤのグリップ力とタイヤライフに大きな影響を及ぼす要素だ。α14のリアタイヤではここでも新技術が投入されている。タイヤセンターとタイヤ両サイド(右・左)に異なる性質のコンパウンドを配置。センターではグリップ力とライフ性能を重視、一方の両サイドでは圧倒的なドライグリップ力を重視した3分割コンパウンドとしている。さらにセンターコンパウンドの領域をα13よりも広く取っているので、グリップ性能とライフ性能をさらに高めることに成功している。

住友ゴム工業株式会社

住友ゴム工業株式会社

1909年創業の老舗タイヤブランドで、1913年には「自動車タイヤ国産第一号」を生産したことでも広く知られている。現在は二輪から四輪、産業用まで幅広いタイヤを製造・販売している。