
掲載日:2011年03月25日 公道スペシャリスト“白バイ流” 究極の安全運転テクニック
常に沈着冷静で威風堂々とした走り。そしてひとたび事件が発生すれば疾風のように現場に駆けつける…。「白バイ」は誰もが認める公道走行のスペシャリスト集団である。その極意とはいかなるものか。2009年度全国白バイ大会のチャンピオン、千葉県警の笹野巡査長を講師に迎え、ストリートを安全確実に走り続けるための考え方やノウハウをお伝えしよう。
お断りとお知らせ
○この内容は、平成22年7月に撮影したものです。
○取材協力いただいた千葉県警察本部交通部交通機動隊は、平成23年東北地方太平洋沖地震発生に伴う広域緊急援助隊として活動しています。
V字バランスが
斜面走破のキモ
勾配のついた登り坂でターンする難易度の高い技。「ボクには関係ないし…」と思っては損! これはトライアルだけのものではものでなく、実は一般公道でとても役立つテクニックなのだ。たとえば上り坂でのUターン。操作系はもちろん、重心移動と体の使い方を知ることで、勾配がある場所でも安全・確実なターンができるようになるはずだ。
キャンバーとは傾斜のこと。トライアルで言うキャンバーターンとは登り斜面でのターンするテクニックのことだ。ちなみに下り斜面で行う場合はオフキャンバーターンとなる。いずれにしても非常に高度なスキルが要求され、オフロード走行におけるバランス感覚を磨くにはもってこいの技である。キャンバーターンはオンロードにも応用できる。特に有効なのは傾斜地でのUターンなど。ビッグバイクでのUターンはただでさえ難しいが、これに傾斜が加わると難易度は高くなる。ことさら上り坂では路面が遠くなり、足が着きにくくなるため失敗しやすく、恐怖感も倍増するはずだ。でも、キャンバーターンのコツをつかんでしまえば、傾斜地でのUターンも恐るに足らずだ。
「トライアルでは地形に合わせて3次元的にバイクを操る必要があります。特に登りや下りの中でバイクの方向を変えて行くキャンバーターンなどは、バイクへの荷重のかけ方や体の使い方がポイントになります。バイクを安全に乗りこなすためのバランス感覚を磨くためにもトライアルはとても効果的だと思います」という笹野巡査長は、自分でもトレーニング用にトライアル車を所有しているそうだ。
キャンバーターンは登り、ターン、下りの3つのプロセスから成り立っている。まず登りではスロットルをデリケートに開けつつ半クラッチでパワーを調整しながら、スタンディングポジションで前後輪にしっかり荷重をかけてタイヤのグリップ感を高める。ターンではある程度車体を倒し込む必要があるため、バンク角とのバランスを考えライダーは腰を山側にずらしたリーンアウト的なフォームをとることになる。このとき、上体は曲がりたい方向に向けつつ主にアウト側のステップに荷重するのがポイント。これにより、正面から見るとバイクとライダーとで「V字」のカタチを作るようにしてバランスをとっている様子が分かるはずだ。下りではやや腰を引いて後輪に荷重しつつリヤブレーキで速度を調整してやる。
V字バランスはバイクとライダーの重心を分散されることで低速でも安定して走破することができるのが特徴で、特にタイヤのグリップに頼れない、滑りやすい路面の場合などに有効である。とはいえ、いきなりは難しいので、最初は平地で8の字を描くところからトライしてみてほしい。
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