
掲載日:2011年02月25日 公道スペシャリスト“白バイ流” 究極の安全運転テクニック
常に沈着冷静で威風堂々とした走り。そしてひとたび事件が発生すれば疾風のように現場に駆けつける…。「白バイ」は誰もが認める公道走行のスペシャリスト集団である。その極意とはいかなるものか。2009年度全国白バイ大会のチャンピオン、千葉県警の笹野巡査長を講師に迎え、ストリートを安全確実に走り続けるための考え方やノウハウをお伝えしよう。
バランス感覚こそ
上達の基本
白バイ隊員が行う低速トレーニングは「狭路」と「一本橋」。単に遅く走るだけでなく、規制されたスペースの中でいかにバランスを保つかがポイントだ。スロットルとクラッチ、ブレーキの連携操作に加え、スタンディングによるバランス補正の方法を学んでいこう! 渋滞路などでのバイクの安定感が増し、安心感もぐっと高まるはずだ。
白バイ隊員の運転技術の高さを、あらためて思い知らせてくれるのが低速バランスである。白バイはあらゆる交通環境や路面状況の中を安全かつ確実に走り切るスキルを要求される。入り組んだ細い路地やクルマがひしめく渋滞路、ときには階段なども走破することも想定しているのだ。そこで重要となるのが低速バランスなのだ。
種目としては「狭路」と「一本橋」を組み合わせたコースになっている。「狭路」ではバイクの幅ギリギリに設置されたポールに接触することなくその間を縫っていくセクションで、ハンドルをフルステア近くまで切らないと抜けられない難所も設定されている。続く「一本橋」は教習所とは違い、クランク状でしかも段差が設けられているのが特徴。内輪差を計算したライン取りをしないと脱輪してしまうし、段差の衝撃をうまく吸収しないとバランスを崩してしまう。さらに競技会では基準タイム(26秒~30秒)が設定されていて、その時間内にクリアしなければ減点となる。まさにプレッシャーと戦いながら、いかに平常心を保てるかが試されるのだ。
「バイクは停止すれば安定を失ってしまいます。速度が出ているうちは車輪が回ることでジャイロ効果が働いて安定していますが、低速になるほどジャイロ効果は弱まり最後は倒れてしまうでしょう。トライアルや一本橋でときに完全停止することがありますが、そこに留まっていられるのはライダー自身が体を使ってバランスを補正しているからです。バイクはクルマと違い、運転者の技術やバランス感覚に頼る部分が大きい乗り物と言えます。それを鍛えるのに最適なのが、こうした低速バランス系種目なのです」と笹野さんは語る。スピードやコーナリングテクを追求する前に、まずは基本からしっかり積み上げていこうというわけだ。
白バイ隊員の場合、低速バランスでは基本的にスタンディングスタイルをとるのが一般的だ。これはヒザの屈伸やステップ荷重を有効に使えて、バランス補正がしやすいためだ。操作系については、半クラとスロットル、リヤブレーキの連携によって、速度を微妙にコントロールする技術が必要になる。低速バランスは小さなスペースでも練習できるので、安全な場所でトライしてみてほしい。
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