掲載日:2022年06月03日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1977年に発売され大人気となったヤマハのパッソル。軽量で取り回しやすい車体、クラッチがないシンプルな操作性、平らなステップ面に足を揃えて乗るスルーステップなどがパッソルの人気の大きな理由だった。
ファミリーバイクの普及が拡大していた時代、先にホンダにロードパルがあったが、女性人気は利便性の高いスルーステップのパッソルへ徐々に移っていた。当時はHY戦争の真っ只中。ホンダが打倒パッソルを掲げ作ったスクーターが「タクト」だった。
個性的で豊かな質感をもち、しかも経済的で便利なひとり乗りの“のりもの”がタクトのコンセプト。大柄の人でもゆったり座れるフロントスペース。フロントにボトムリンク、リアにオイルダンパー採用することでソフトな乗り心地を実現した。さらにパワフルな最高出力3.2PSの強制空冷2ストエンジン、ホンダ独自のオートマチック機構(Vマチック)を採用するなど、優しさに余裕がプラスされていた。同時にワンプッシュでエンジンが始動するセル付きもラインナップ。充実度から大ヒットとなった。
その後、タクトDXセル付にサイドトランクを装着した「フルマーク」。1982年にはフルモデルチェンジをして最高出力が4.0PSにUP、電装も12V化。1983年にはフランス人デザイナー、アンドレ・クレージュがデザインした「クレージュタクト」が登場。その後もモデルチェンジを繰り返し2002年まで販売された。空白の時代を経て、2015年に奇跡の復活。形は変わったが2022年のいまでもラインアップに名を連ねている、ホンダを代表する名スクーターなのである。
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