掲載日:2022年04月22日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ホンダの原付の中でも特に長い販売実績を誇っていたベンリィCD50。登場したのは54年も前だが、その内容はすでにビジネスバイクの完成形に近いものだった。
実用性を第一に考えた設計で、乗りやすさ、安定性、経済性を高い次元で実現していた。エンジンは低中速出力を重視、粘り強くて音も静か、さらに燃費もいい4サイクルOHCを搭載。ギアはワイドレシオにして、幅広い状況(路面、傾斜、荷物量など)に対応できるようにしていた。
次に操作性&乗り心地。ワイドなアップハンドル、手元に集中したスイッチ類、座り心地のいいシート、安定性の高いテレスコピックサスペンション、ロングストロークのリアサスペンションなど、走りも高レベルにあった。
ほかにもフレームは軽量で強度の高いT型のプレスフレームを採用していたり、悪天候時の走行に備えて前後フェンダーのスカート部を広げていたり、商用を意識して荷物を安定して積載できる大型リアキャリアを装着していたり、至れり尽くせり。さすがホンダという感じだ。
1979年には騒音規制に適合、低中速域の出力向上により登坂力もアップ。1983年にはスーパーカブのエンジンをベースに、燃料消費率を1リッターあたり140kmに向上するなど、基本設計やデザインはそのまま、細部を見直し。ホンダ屈指の長寿ビジネスモデルとなったが、2007年の厳しい排気ガス規制に対応できず、ついに生産中止に! 40年近く続いた長い歴史は終止符を打った。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!