掲載日:2022年03月04日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1972年6月、ヤマハから新しい50ccバイクが2台同時発売された。1台はレーサースタイルのヤマハスポーツFX50、もう一台が今回紹介するスモールサイズのオフロードマシン、ヤマハトレールMR50だ! フレームやエンジンなどはFXと共通、ホイールも前後2.50-17インチと同サイズ。生まれは同じなのに個性が全く違う、双子のような存在だった。
当時ヤマハには大人気モデル15インチタイヤのトレールモデルのミニFT50(その後はGT50)があり、「ミニトレ」の愛称で親しまれていた。どちらかというと「ミニトレ」はレジャーや街乗りが主戦場。一方、最高出力が6PSとパワーがあり、ホイールも大径でサスペンションのストロークも長く、オフロード走破性能が高いMR50はオフロード志向ファンが支持。モトクロスや林道ツーリングの入門バイクとして人気に。
ステップ下から後方に高く長く延びたマフラーが特徴的なMR50。1976年にカラーリングを変更、1977年にはタイヤサイズアップ、灯火類の光量アップ、フロントフォークのボトムケースのアルミ化など、各所をグレードアップ。1979年には最新テクノロジーのモノクロスサスペンションを採用、マフラーもアップタイプのブラックマフラーに変更。オフロード走破性はさらに高くなった。その後も少しずつモデルチェンジ、レベルアップしていった。そのアイデンティティーは1982年に発売され大人気となったDT50へと引き継がれていった。
70年代のヤマハ、原付オフロードモデルの一時代を築いた貴重な1台なのである。
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