掲載日:2021年08月06日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1980年、アメリカンブームは原付にまで押し寄せてきた。ヤマハがティアドロップタンクにプルバックハンドルなど、伝統的なアメリカンスタイルを継承したモデル「RX50special」を発売。同年、ホンダは普通のアメリカンは作らず独自のスタイル、シティバイク「ラクーン」を販売した。キャッチフレーズは“ザ原宿バイク”。ライディングポジションはプルバックハンドルに低めのシートでアメリカン的なのだが、スポークホイール、サイドカバーと一体化したタンクなど、独自の路線を貫いた。
1982年。ホンダが後継車を発表。次は本格的なアメリカンか!?と思いきや、ニューアメリカンスタイルのMCX50だった。アメリカンと言えば丸みを帯びたデザインが特徴。ところがMCXはヘッドライトからメーターパネル、サイドカバー、リアカウルからテールライトまで、全て鋭角的な直線デザイン。さらにハンドル周りはカバーリング、オリジナルパターンのキャストホイールを採用など、ニュースタイルを提案した。
MCX50のキャッチコピーは『…テクノ時代の空気を呼吸するニューアメリカン登場。新しい街並みに似合う、新しいファッション感覚のスパーシティカスタム…』。なるほど、当時の最先端デザインをひとつの形にしたということらしい。
エンジンは人気の高かった2ストロードバイク㎆50と同系、最高出力は7PSとかなりパワフルだった。ところが運が悪いことに、この頃から原付事故増加を受けて60㎞/h規制が敷かれ、最高速は低下、さらに二段階右折やヘルメット着用義務化などを受けて原付ブームは下火に。つられるようにMCX50もフェイドアウトした。