掲載日:2020年12月04日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
1990年。元来のスクーターやオートバイのデザインを大きく覆すスタイルの原付バイク、ホンダのズークが登場した。
1990年と言えばスケートボードが大流行していた時代。そこに目を付けて作ったのかどうかはわからないが、平べったく長く延びたボディはどこかスケートボードを連想させる。その低いボディの前後からハンドルとシートのポールがビョーーンと長く延びている。超個性的デザイン。
さらにシートの形状はほぼ自転車のサドル(笑)。実はこれ、ここにヘルメットを被せてヘルメットホルダーとして使えるようになっている、便利機能のひとつなのだ。さらにシートは高さを2段階調節できる親切設計。とにかく特徴だらけのバイクなのである。
僕が一番面白いと思ったのはタイヤのトレッドパターンがシューズのデザインになっていること。ズークが走った後には足跡のような轍が残るのだからこれは楽しい。もし事件の犯人がズークに乗っていたら、足跡ですぐに車種がバレちゃうね(笑)。
カラーバリエーションは6色! 広告のキャラクターは人気の所ジョージ。ここまでデザインやコンセプトにこだわり、タイヤのトレッドパターンにまで趣向を凝らしたバイクは後にも先にも、このズークだけだろう。
そんなズークのターゲットは当時の若者たちだったが、あまり人気は出なかったようで、わずか一年でカタログからサヨナラする運命に。さらに超短命というプレミアムまでプラスされた。いろんな意味で超貴重なバイクなのである。
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